ギャンブル依存「いつか勝つ」が難しい数学的根拠 負け続けた結果、一気に挽回を目指しても
■「数学的なものの見方」の重要性 水原氏の件は捜査が終わっておらず真相はまだわからないものの、有名スポーツ選手で違法賭博や覚醒剤にかつて関わったが、その後の人生で立ち直って立派に生きている人は、筆者が知る限りでも何人かいる。それだけに、賭博や覚醒剤で大きく躓いた人も、そのような人達を励みにして、頑張って生きてほしいのである。 最後に、「本来的に賭博は何も生産せず、人々がすでに得た収入の一部をかすめ取るだけのものである」と指摘したい。前回の記事「『GDP4位転落』日本に数学嫌い克服が必要な理由」(2024年2月20日)にも書いたが、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が公表した「世界競争力年鑑」によると、日本は1989年から1992年まで1位を維持していたものの2023年版では35位と過去最低を更新した。このような状況を考慮したかのように、政府の教育未来創造会議は理系分野の充実を目指して様々な対策を打ち出した。
数学はあらゆるものの生産の基礎となるものだけに、本稿で述べたことも参考にしていただき、「数学的なものの見方」が日本で広がることを期待したい。
芳沢 光雄 :数学・数学教育者