試合終盤にドラマ 首位・横浜FCユース、後半ATの2得点でFC東京U-18とドロー
9月23日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EASTの第15節2日目の1試合がニッパツ三ツ沢球技場で行われ、横浜FCユースとFC東京U-18が対戦した。 【フォトギャラリー】 横浜FCユース vs FC東京U-18 試合は3-1、FC東京U-18優勢で迎えた後半アディショナルタイム、横浜FCユースが立て続けに2得点を挙げ、3‐3のドロー決着となった。 前半は横浜FCユースのペース。序盤、FC東京U-18の守備に苦慮していたが前半29分、DF3小漉康太のパスを受けたFW9庄司啓太朗が決め、横浜FCユースが先制。終盤にかけ、押し込まれたが、高さを生かした守備で耐えて、1‐0で前半を折り返した。 前半シュートゼロで終わったFC東京U-18は後半、全く違うチームに変貌したように攻めに出た。 後半2分、左サイドの突破からMF19髙橋裕哉が決め、同点に追いつくと9分にはDF26田中遥大のシュートが相手選手に当たり、オウンゴールとなり、逆転に成功。イケイケのFC東京U-18は23分、FW9山口太陽のシュートのこぼれ球を途中出場のMF11 浅田琉偉が押し込み、2点差に。特長のパワーとスピードが発揮された。 ここで勝負ありと思われたが、横浜FCユースが最後に意地を見せた。後半アディショナルタイムは3分の表示。そのなか45+1分、左サイドからのクロスにFW23前田勘太朗が頭で決めると、45+4分、今度はFW23前田からのクロスにMF11中台翔太が頭で決め、試合終了。横浜FCユースが土壇場に追いつき、勝点「1」ずつを分け合った。 年に何度も見られないだろう、サッカーの面白さがじゅうぶんに伝わる90分間。ピッチに目をやれば、まるで勝ったかのような盛り上がりの横浜FCユースと意気消沈のFC東京U-18。 両チームの明暗がわかれた。 注目は後半。横浜FCユースはなぜ3失点したのか。そしてなぜ、終盤、追いつけたのか。 まずは3失点について。和田拓三監督は、前半、チャンスがありながら追加点が取れなかったこと。そして後半、攻撃に人数をかけたFC東京U-18に後手を踏んだことを挙げた。その後手というのが後半2分の失点。ハーフタイムでイレブンは「無失点でいこう」と話し合ったが出鼻をくじかれた。「後半立ち上がりで失点してしまったのが一番大きかった」と主将DF3小漉。しかも失点は不運なオウンゴール。「(この失点が)焦りになってしまい、全体的にパスミスが多くなり、相手にボールを奪われるようになりました」と振り返れば、FW9庄司は「自分たちで流れがつかめず、集中力が足りませんでした」と心理的影響が大きく左右したようだ。 こうなると不思議なもので、弱気の虫は一気に広がるもの。なかなか修正できない。一方、こんな意見も。「(追いつかれても)焦りはありませんでした。ただ前線で張った自分が味方に安心感を与えられなかったのは自分の責任ですし、後ろが焦っていたのならば、落ち着かせられなかったのも自分の責任です(FW23前田)」。頼もしさが伝わるが、ひとりの力では流れを変えることはできない。点差をつけられ、思わず天を仰いでしまう劣勢のなか、なぜ追いつけたのか。 2点目を決めたFW23 前田は「諦めない姿勢を見せたいとチームを鼓舞しました。その姿勢が自分のゴールにつながりました。また仲間を信じたこと。クロスのタイミングがあっていたことも得点につながりました」と胸を張れば、同点弾のMF11 中台は「仲間が出したボールに信じて走りこまないといけない。仮に(前田)勘太朗のボールが良くなくても、もう一回、次の人がクロスをあげてくれるのを何回も待つしかない。そこは信じ続けたい」と信の一字。選手同士の結びつきの強さが感じられる。 また和田監督は「1‐3になったなかで、メンタルが落ちてしまうのは高校年代なのであります。しかし逆にいえば、若さというか、もっともっとやらないといけないという気持ち。きょうだけでなく、今シーズン、粘り強さは試合を重ねることで身についています。諦めない気持ちなどは自分自身も口酸っぱくアプローチしていますが、しっかり判断してサッカーができていることは成長を感じるひとつです」と選手を称えた。 もうひとつ加えるなら、優勝への意識。首位に立つ横浜FCユース。今節、2位の鹿島アントラーズユース、3位の流通経済大学柏がともに敗れたことで、勝点差を引き離すチャンス。そのことをイレブンはじゅうぶん意識していたようだ。 「きょうの引き分けは絶対に次につながります。次は前橋育英なので、絶対に勝ちきって、勝点を引き離したいです」とFW9庄司。 今節終了時点で、首位・横浜FCユースは勝点「29」。2位の鹿島は「26」、3位の流経大柏は「25」と続いている。このまま横浜FCユースが突っ走るのか、それとも鹿島、流経大柏が追いすがるのか。残り7試合、まだまだドラマが待っていそうだ。 (文・写真=佐藤亮太)