料理家・今井真実さんが”びっくりする程おいしい“と絶賛!映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』物語の鍵を握る「オカ」って?【ミニレシピ付き】
ただ生きているだけで、ずっと勝ち負けにさらされている。フィールドに立ち、永遠に終わらない試合に出ている。でも、もし永遠に終わらない試合であれば、楽しめばいい
人はお互いに救いあい成長できる。信心深いサモアの人々ですが、彼らはロンゲンをも信じることをあきらめませんでした。ロンゲンを家族として受け入れて、全員の幸福を願うこと。そのひたむきな心がロンゲンの人生を変えていくのです。 驚くべきことはこの映画のほとんどが実話をベースとして作られていると言うこと。サモアが世界最弱と呼ばれるきっかけになった出来事である、31対0という歴史的大敗の試合も事実。そして、鬼監督のロンゲンもタビタも実在の人物で今もこの映画のように生活しています。ジャイヤはFIFAワールドカップ予選で世界初のトランスジェンダーのサッカー選手です。 挫折を味わった後、私たちはどう生きるのか。あんなに好きなことでさえ、憎しみの対象になってしまうし、呪いになる。しかし現実の世界ではそこで試合終了ではありません。ずっとずっと毎日は続いていき、負けたことや喪失と向き合っていかなくてはいけません。特にそれが仕事であった場合、逃げ道は塞がれています。 だからこそ、サッカーが楽しかったこと。なにより私たちはこれが好きだったんだと、そのことを思い出し、純粋な気持ちに立ち戻る。いっときの勝利のために不幸であってはならない。全員のその勇気ある決断に、ラストシーンでは何度も胸が締め付けられ、いっそう、涙が止まらなくなったのでした。 根っからのネガティブな私は、勝敗があるスポーツは避けて生きてきました。それでも時折、ただ生きているだけでずっと勝ち負けにさらされているような気分になります。意図せず、人と比べられることもありますし、誰かを目指せばいいのではと言われることもあります。挫折を経験したことも何度もありますし、今も知らない間に、フィールドに立ち、永遠に終わらない試合に出ている気持ちです。 しかし、もし永遠に終わらない試合であれば、楽しめばいい。ずっと張り詰めている必要はありません。青い空を眺め、温かい風を感じ、今ここに生きていることの幸せを受け取るのです。活躍する仲間の勇姿を喜び、敵の果敢な姿さえ認めてしまえばいい。そうです。みんなで幸せになろう。優しさは勝利と心の安寧を生むことができるのです。
『ネクスト・ゴール・ウィンズ』
監督/脚本/製作:タイカ・ワイティティ 出演:マイケル・ファスベンダー(トーマス・ロンゲン)、オスカー・ナイトリー(タヴィタ)、エリザベス・モス(ゲイル)ほか 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 北米公開:11月17日 製作年:2023年 製作国:イギリス/アメリカ 原題:Next Goal Wins ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. Staff Credit 撮影/今井裕治