料理家・今井真実さんが”びっくりする程おいしい“と絶賛!映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』物語の鍵を握る「オカ」って?【ミニレシピ付き】
物語の鍵を握る、サモアの魚のマリネ「オカ」って? 待って待って、もう1回、料理の説明して!
さて、この映画には印象的な食べ物が登場します。その名も「オカ」。私はこの映画で初めて知った料理です。サモアは島国なので海に囲まれており、日本と同じように魚がたくさん採れるそうです。 ロンゲンをアメリカから呼んだ、サモアサッカー協会代表のタビタは働き者。サッカーチームの運営資金のために、レストランも経営しながら、さまざまな仕事を兼業しています。 ある日彼のレストランに、不遜な態度の監督ロンゲンが訪れます。ロンゲンは島の文化、思い通りに行かない生活、あまりにサッカーの基本ができていないチームのメンバーにうんざりしていました。 そんな彼にタビタが出したメニューが「オカ」。なんと生の魚がココナッツクリームと生野菜でマリネされていて、ロンゲンは初めて見る料理にぎょっとするのです。すると、タビタは彼にこう言いました。 「我々にも“伝統”というメソッドが。その魚もよもや自分が刻まれてネギやレモンに漬けられるとは思わなかったはず。でも、そのお陰で格段に旨くなった。あなたもマリネされてみては?」あまりにサモアの文化を無視し続けるロンゲンに、タビタは諭すように料理を説明します。 訝しがりながらも、ロンゲンはおそるおそる一口食べて、目を丸くしました。「うまい! うまいぞ!」彼はまるで息を吹き返したように、タビタの背中に向かって叫ぶのでした。 小さな島国のおおらかな文化、人々の明るく優しい哲学に触れて、ロンゲンも自分自身の問題に向き合います。そして自分自身を変えなくてはと自省し、サモアの人々へ徐々に心を開き、彼らの考えを学ぼうと試行錯誤していくのです。そして最弱と呼ばれていたチームもロンゲンという優れた指導者に出会い、初めてサッカーと真剣に向き合い練習を重ね、上達していく楽しさを知るのでした。 はい、正直に言います。私は一瞬、「魚のマリネ」のくだりで映画を見ているという集中が切れました。待って待って、もう1回、料理の説明して! なに!? エシャロットって聞こえたような気もしたけど、長ネギ? 万能ネギでも代用可能ですか? それとも玉ねぎ? エシャロットじゃないとだめですか?とよく自分自身が聞かれるような質問が脳内に溢れかえります。