三吉彩花、自身のコンプレックスと向き合って挑んだ“運命”の役 意思表示の大切さを再確認
三吉彩花が感動した池松壮亮の“泣き芝居”
ーー主演の池松壮亮さんとは初共演ですよね。共演してみて、いかがでしたか? 三吉:池松さんと石井さんは、長年一緒にやられていますし、お二人の阿吽の呼吸というのを現場で感じることができました。わたしは、石井組に参加するのが初めてだったので、入っていくのは難しさもあるんじゃないかなと思いましたが、池松さんがフラットにいてくれたのでありがたかったです。池松さんって、一見、ただ佇んでいるように見えて、観察していたり、一人ひとりをすごく気遣ってくれていたりするんですよね。そういう優しさにも、すごく救われました。 ーー池松さんは今回、企画段階から参加されていたんですよね。 三吉:本当に、池松さんがいなければ存在することがなかった作品だなと思います。わたし、池松さんの泣き芝居がすごく好きなんですよね。「池松さんの泣き顔、ずっと見ていられる」って思いました。こんなにずっと見ていられる俳優さんって初めてだったので、すごく感動して。 ーーたしかに、池松さんの泣き芝居って刺さりますよね。 三吉:ですよね。『本心』は泣くシーンがすごく多いんですけど、それぞれ泣き方が違うんです。一つひとつのお芝居に丁寧に向き合うという気概を感じられて、すごく素敵だなと思いました。 ーーかなり過酷な撮影だったと思いますが、終わったあとの解放感のようなものはあったのでしょうか? 三吉:うーん、そんなことも考えられないくらいの状態でした。ただ、2カ月前くらいに試写で作品を観たんですけど、そこで「あの向き合った時間はちゃんと意味のあるものになってるな」と感じることができて、ホッとしました。 ーー三吉さんの今後のビジョンなどがあれば、教えてください。 三吉:『本心』での撮影を経て、ひとつの作品を作っていく過程がすごく好きだなと再確認しました。チームで同じ方向を向いて頑張っていくのって、とても大事なことだなと。 ーー以前、短編映画『inside you』(2021年)で監督をされていましたが、裏方のお仕事への意欲などは? 三吉:まったく興味がないわけではないですが、2~3年以内とかはないですかね。直近だと、役者やモデルのお仕事で海外にチャレンジしていきたいなと思っています。モデルとしては、ファッションウィークで海外のコレクションに参加することが多いんですけど、そこからさらに深くクリエイティブに携わっていきたいと思っています。 ーー他国の方と関わることで、刺激を受けることもあるのでしょうか? 三吉:あの短い時間ではなかなか深い話はできませんが、みなさんの立ち振る舞いは本当に参考になります。佇まいも個性であり、パフォーマンスであり、自分を見せる機会でもある。コレクションは、ブランドに対する敬意を示す場所でもあるんだな……と、いろいろ勉強させてもらっています。 ーー最後に、俳優業としての目標も教えてください。 三吉:役者としての仕事は、小さいころからやってきたものではありつつも、なにが正解か分からないまま走り続けてきた感覚があったんです。でも、いろいろな作品に出演して刺激を受けるなかで、観ている人に影響を与えることができるお仕事なんだなと思うことができました。そういった部分を意識しながら、表現者としてこれからも精進していきたいと思います。
リアルサウンド編集部