タタとPSMCが新工場 注目集まるインドの半導体市場
数十年にわたり、インドは世界的な半導体大国になるために大規模な努力を重ねてきた。そうした背景もあり、タタ・エレクトロニクス(以下、タタ)が明らかにした、インド初の半導体工場とチップ組み立て・テスト施設を建設するという動きは、エレクトロニクス製造の自立を目指すインドにとって画期的な動きである。 間もなく建設されるタタの半導体新工場は、台湾や中国がけん引する半導体製造競争に追い付こうとするインドの野心を実現する重要な場となるだろう。そのため、タタやそのほかの企業による投資は、南アジアの国であり世界第5位の経済大国であるインドが、ようやく勢いを取り戻しつつあるという雰囲気を醸し出している。
大規模なエコシステム投資
タタがグジャラート州ドレラに計画している新工場は、世界有数の半導体メーカーである台湾のPSMC(力晶積成電子製造)との共同によるもの。PSMCは宮城県で進めていたSBIホールディングスとの合弁による半導体工場の計画を断念し、今年9月に提携を解消したことでも話題となった。アーメダバード市近郊という戦略的な立地に、両社は最大9100億ルピー(約110億ドル)の投資を投入する可能性がある。さらに、インド初となるAI(人工知能)などを導入した最先端の工場となる見込みで、2万人以上の直接・間接的な技能職を生み出す可能性がある。 新工場では、電源管理IC、ディスプレー・ドライバー、マイクロコントローラー(MCU)、高性能コンピューティング・ロジックなどのアプリケーション向けチップを製造する計画。これにより、自動車、コンピューター、データストレージ、ワイヤレス通信、AIなど、さまざまな市場の需要増に対応する。生産能力は月産5万枚を予定しており、これが実現すればインドは世界の半導体産業における重要なサプライチェーンの一翼を担うこととなる。 新工場の建設とともにタタは、アッサム州ジャギロードに最新鋭の半導体組み立て・テスト(OSAT)施設を建設する。この施設は2700億ルピー(約32億ドル)の投資で建設され、同地域で2万7000人以上の直接・間接雇用を創出する可能性がある。 このOSAT施設は、ワイヤボンディング、フリップチップ、統合システムパッケージング(ISP)など、三つの技術に焦点を当てる予定である。さらに、同社は将来的に高度なパッケージング技術へのロードマップを拡大する。これらの技術は、自動車(特に電気自動車)、通信、ネットワークインフラなど、インドの主要アプリケーションにとって極めて重要。提案されている施設は、AI、産業用、家電製品などの主要な市場セグメントで高まる世界的な需要に対応する。