麦ストロー作りで障害者の経済的自立促進を 松山市の福祉施設、環境配慮し県産品PRも
松山市の障害福祉事業所「リハスワーク松山」が、愛媛県産の小麦の茎を使ったストローを製作している。 環境への配慮はもちろん、障害者の工賃向上や県産品の認知度アップを目指す。代表の仙波久武(せんば・ひさたけ)さん(49)は「手間暇かけて丁寧に作っており、納得のいく出来栄え。カフェやバーなど幅広いお店で使ってもらえたら」と話している。(共同通信=山口裕太郎) 仙波さんは息子に発達障害があり、「安心して子どもを預けられるような施設をつくりたい」と昨年12月、リハスワーク松山を開設した。 この事業所は、知的や精神、身体障害者が雇用契約を結ばず自分のペースで働く「就労継続支援B型」に分類。B型事業所は工賃の低さが全国的な課題となっており、リハスワーク松山は外部から作業の発注を受けるだけでなく、オリジナル商品の開発や販売にも力を入れ、利益を障害者に還元する仕組み作りに力を入れてきた。 今年1月、付き合いのある農家から「昔はストローも麦から作っていた。事業所でやってみたら」と提案を受け「やります」と即答。麦わらを無償提供してもらうことになった。
麦は無農薬で栽培。傷がつかないように手で刈り、茎を適切な長さにカットした上で熱処理、アルコール消毒する。仙波さんによると「作業が難し過ぎず、事業所でも行いやすい」。 小売価格は、長さ21センチ80本入りで800円程度を見込む。細めだがふやけることもなく使いやすい。飲食店に卸売りすることも想定して商談を進めており、「エコな商品だし、これなら置き換えられる」と前向きな反応が多いという。 「地域、社会の役に立つ仕事が工賃の向上、障害者の経済的な自立促進につながれば、本人たちも仕事にやりがいを感じられる」と仙波さん。「福祉が、地域や社会を支えるようになってほしい」と願っている。