早稲田大学、チーム一丸でつかみとった7季ぶりの東京六大学制覇。次に見据えるは全日本大学野球選手権の優勝
昨年秋の東京六大学リーグ戦では勝ち点を挙げたチームが優勝となった早慶戦で先勝するも、そこから2連敗し宿敵・慶應義塾大学の胴上げを見せられた早稲田大学。
これで、6季連続で優勝を逃し、チームに優勝経験者がいなくなっていた。この危機的状況に、主将に就任した印出太一(スポ4=愛知・中京大中京)を中心に『勝つ資格のあるチーム』を目指して、新体制始動当初からチーム力の向上に努めた。
今季は勝負どころで勝ち切れなかった昨秋とは対照的に、チーム一丸となり粘り強くリーグ戦を戦い、勝ち点5で完全優勝を達成。チーム打率・防御率ともにトップと、他大学を寄せ付けない強さで優勝を果たした。
プロ注目の3番・吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)、4番・印出主将がクリーンアップとして打点を重ねる中で、攻撃の起点となったのは1番・尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)だ。昨年春に打率.347の成績を残し、不動の1番打者として打線の火付け役を担ってきた尾瀬。
しかし、昨秋は打率.271と満足のいく成績を残せなかった。オフシーズンには金森栄治 助監督(昭54教卒=大阪・PL学園)のアドバイスに加え、体力強化に努め、迎えた今春のリーグ戦。開幕戦の立教大学戦、第1打席で中前安打を放ち幸先の良いスタートを切ると、その勢いは止まらずに安打を量産し続けた。
特に印象的な活躍を見せたのが迎えた明治大学との3回戦だ。初回から安打を放ち、チャンスメイクをすると、7回にも尾瀬の安打をきっかけに好機を演出する。どちらも得点には結びつかなかったが、尾瀬の出塁が確実に早大ペースで試合を進めていっていた。
0-0で迎えた延長11回、ついに尾瀬が適時打を放ち均衡を破ると、この回5点を奪う猛攻。2021年秋以来の明大からの勝ち点獲得となり、この試合から無敗で優勝まで突き進んだ。
「1打席目で結果を残す」(尾瀬)と言い続け、今季は12試合中8試合で第1打席での出塁を記録。そして打率.479で首位打者とベストナインを獲得した。今季は稲穂打線の切り込み隊長としてふさわしい活躍であった。