鈴木亮平、『シティーハンター』で見せた衣装へのこだわりと原作愛 役作りは「デ・ニーロ流」
連載《ニュースなルック》
映画の世界で「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれている用語がある。名優、ロバート・デ・ニーロの鬼気迫る徹底した役作りからきた言葉で、ロバート・デ・ニーロは演じる人物になりきるためなら体重の増減は当たり前。例えば映画「レイジング・ブル」(1980年)では、現役時代の鍛え抜かれた肉体と引退後の肥満体形の両方を作り上げるために体重を30kg近く増減させてボクサーの役を演じた。 【写真はこちら】グッチのショーに登場した鈴木亮平さん 全部キマッてる!スーツやタキシードの装いもチェック
いま日本の映画界で、デ・ニーロ・アプローチが自在にできる俳優といえば鈴木亮平氏だ。役者ならば役作りで多少の体重の増減はできるだろうが、鈴木亮平氏のように、作品によって演じる役のために体形から見た目までがらりと変えてしまえる俳優は他にいない。まさに和製ロバート・デ・ニーロといってもいい。 鈴木亮平氏の体格は公称では身長186cm体重75㎏らしいが、大河ドラマ「西郷どん」(2018年)では、なんと体重を100㎏近くまで増量して主役の西郷隆盛を演じた。映画「HK変態仮面」(2013年)では、体重を15㎏増量した上で体を鍛えてあんど慶周の原作マンガそのまんまな頭にパンティを被った変態ヒーローを怪演。 かと思えば、鈴木亮平の名を全国区にした朝ドラ「花子とアン」(2014年)では体重を元に戻してヒロインの吉高由里子の相手役を好演した。ドラマ「天皇の料理番」(2015年)では病に冒され病床に伏す主人公の佐藤健の兄役を演じるために体重を半年で20㎏落として熱演している。
■コミカルからシリアスまで 自在に演じる
役者、鈴木亮平のデ・ニーロ・アプローチがすごいのはストイックなまでの体重の増減だけではない。コミカルな役からシリアスな役まで、作品によって自在に演じてしまう。 例えば、映画「孤狼の血LEVEL2」(2021年)で演じた、もみあげを垂直に切りそろえた異様な髪形のヤクザ上林の狂気極まるバイオレンスなキャラは、いやもう上林に憑依(ひょうい)した演技がガチで怖すぎて、ホントに鈴木亮平が嫌いになってしまったほどである。 かと思えば、話題になったドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」(2022年)ではビシッと高級ブランドのスーツを着こなして、いかにも仕事ができる男、TV局のエース記者を演じ、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(2021年)では白い救命衣を着て災害の現場に乗り込むスーパードクターを演じた。また「テセウスの船」(2020年)では実直な町の警官役を爽やかな演技で好演。 「下剋上球児」(2023年)では、「アンダーアーマー」のTシャツを二の腕パツンパツンで着たワケありの高校教師を熱演。かと思えば映画「エゴイスト」(2023年)では、宮沢氷魚の恋人役で「ルイ・ヴィトン」を着こなすゲイのファッション編集者を演じている。