鈴木亮平、『シティーハンター』で見せた衣装へのこだわりと原作愛 役作りは「デ・ニーロ流」
■実写版「シティーハンター」、バラクータ華麗に装う
そしてやはり鈴木亮平といったら、人気コミックを実写化した映画作品に欠かせない。前述の「HK変態仮面」をはじめ、「ガッチャマン」(2013年)、「TOKYO TRIBE」(2014年)、「俺物語!!」(2015年)などなど。まるでコミックやアニメの世界からそのままでてきたヒーローのような鍛え抜かれた肉体美に小顔体形の鈴木亮平氏は、コミカルな役からシリアスな演技もこなせて、多くの人気コミックやアニメの実写版でひっぱりだこだ。 その集大成ともいえるのが、鈴木亮平氏が役者を目指していた頃から「この役は自分しかいない」と憧れていた「Netflix」で実写化された「シティーハンター」である。 テレビアニメ化されて映画版も何作も製作されている北条司氏原作の人気コミック「シティーハンター」は、2019年にフランスで日本のアニメオタクで熱烈なシティーハンターファンの監督によって実写映画化されている。どれほどおしゃれなフランス版シティーハンターかと思いきや、主人公の冴羽獠のあまりにもアニメ版のシティーハンターに忠実なコスプレ衣装は、ファッション的にいささかガッカリした。 一方、鈴木亮平氏が「シティーハンター」で特にこだわったのが衣装である。 公式のインタビューでも「日本で『シティーハンター』を初めて実写化するのなら、獠が今の新宿に存在していると感じさせるものにするべきだという思いがありました。漫画での獠はロングコートを着ていることが多い。漫画は白黒なので、僕はベージュのイメージで読んでいましたが、コミックのカラーページでは大抵緑系のカーキ色でした。ただ実写化する際にカーキ色のコートではミリタリー感が強くなり、かつ色味も少し沈んでしまう。かといってアニメで印象的な水色のジャケットは裏稼業にしては目立ちすぎる。そこで最初のイメージだったベージュを提案し、戦いに行く時のショートブルゾンは緑にさせていただきました」と語っている。 ちなみに、鈴木亮平版の冴羽獠が戦いに行く時に着ていた緑のショートブルゾンは、見た限りではおそらく「バラクータ G9」だ。それも高倉健やスティーブ・マックイーンが着ていた昔のモデルではなく、今どきのスリムフィットタイプのモデルである。 筆者が知る限り、これまで映画の中でスリムフィットタイプのバラクータ G9をおしゃれに着こなしているのは、韓国ドラマ「ヴィンチェンツォ」(2021年)のソン・ジュンギだけであった。厚い胸板にTシャツ1枚でグリーンのバラクータ G9の袖をめくってドックイヤーの衿を立てて羽織り、内ポケットからコルトパイソン357を出して敵の組織と銃撃戦をする、鈴木亮平版冴羽獠。あっさりソン・ジュンギ越えである。格好いいったらない。