世界最速スパコンはAMD CPU+APU搭載の「El Capitan」
第64回となる世界のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」が18日に発表された。トップの座に輝いたのは、米国カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に設置され、AMD製CPUとAPUを搭載した「El Capitan」だった。 【画像】Instinct MI300A。APUで、CPUとGPUを1パッケージに統合している El Capitanは「HPE Cray EX255a」システムで構築される。CPUには1.8GHz駆動で24コアを備えた第4世代EPYCプロセッサを採用するほか、APUとしてInstinct MI300Aを搭載した。CPUとGPUの“コア数”合計は1,103万9,616基。Cray Slingshot 11ネットワークを用いてデータを転送し、58.89GFLOPS/Wのエネルギー効率を実現しているという。 その演算能力はHPL(High Performance Linpack)スコアで1.742EFLOPS、システムの合計ピークパフォーマンス2.79EFLOPSに達し、従来のNNLNのもっとも強力なスパコンであるSierraの性能の20倍以上になるという。コンピューティングノードは11,000を超え、メモリは5.4375PB。 El Captainは米国における核兵器科学や科学的発見をするための演算リソースであるため、機密扱いにされている。一方で、El Capitanと同じアーキテクチャや部品で構築されているものの、サイズを10分の1に抑え、演算能力を288.8PFLOPS(HPLスコアは208.1PFLOPS)とした非機密扱いの“姉妹”システムの「Tuolumne」も用意。こちらも10位の性能となっているが、気候変動影響のモデリングや、高解像度の地震モデリング、高度な製造、持続可能エネルギーの調査といったオープンサイエンスを推進する。 なお、2位は米国テネシー州のオークリッジ国立研究所(ORNL)に設置され、米国エネルギー省(DOE)のために運用している「Frontier」で、演算能力は1.353EFLOPS。こちらはCPUにAMDの第3世代EPYC、GPUにInstinct 250Xを採用している。3位は「Aurora」で1.012EFLOPS。 2024年6月度のランキングでは4位だった日本の「富岳」だが、今回はEl Capitanに加え、イタリアフェレーラエルボニョーネのEni SpAセンターに設置された「HPC5」が新たに5位(477.9PFLOPS)に食い込んだことで、6位と順位を2つ下げた。また、全体でみると中国が以前ほど参加に積極的でなくなり、ドイツのシステムが41種類になるなどヨーロッパ勢の躍進が目立つ。
PC Watch,劉 尭