新型スズキ・スペーシアカスタムの走りを郊外・市街地・高速道路で確かめた! 違いはスタイルとターボだけじゃない? 【新型スペーシア試乗・後編】
本革巻きステアリングのタッチと15インチタイヤがもたらす上質感
スペーシアから、カスタムのターボ仕様「XS」へと乗り換える。 走り出した瞬間に感じたのは乗り心地の変化で、ほんの少しこちらの方がNAモデルよりも上質。本革巻きステアリングのしっとりとした質感と、トーンが揃っている感じがした。 【画像】クールなスタイルに加えターボエンジンを搭載した新型スペーシアカスタムの走りは!? その主な原因となっているのは、15インチタイヤの採用だろう。タイヤ銘柄の差もあるが、全体的には少し落ち着きが増した印象だ。 ちなみにその足周りは、スプリングやダンパー、そしてスタビライザーやブッシュに至るまで、NAモデルと同じだという。そう考えると乗り味的にはこちらが本命で、1インチ大きなタイヤからの入力をカバーする足周りの剛性が、NAモデルだと少し硬目に出たと言えるかもしれない。 とはいえ凹凸が激しい路面では変わらずダンピングが足りず、最終的にはNAモデル同様バンプラバーにタッチして突き上げた。 また都内の平坦では、後部座席の乗り心地は14インチの方が良かった。 ただ相対的に言えば、それはストローク量が取れないスーパーハイトワゴンとしては想定内の乗り心地だと思う。改めてホンダN-BOXとの対比もするが、スペーシアとライバルの間で大きな差はない。
NAの素直なハンドリングに落ち着きをプラス!ターボのトルクもありがたい
パワーユニットは、64PS/98Nm(10.0kgm)を発揮する660ccの直列3気筒ターボがベースのマイルドハイブリッド。モーターの出力は3.1PS/50Nm(5.1kgm)とNAエンジン用の2.6PS/40Nm(4.1kgm)より僅かに高められているが、モーターの存在感は当然マイルドハイブリッドの域は出ておらず、黒子的にその走りをアシストしている。 だからターボになっても、割とエンジン音はクリアに聞こえてくる。トーンは一段低めだが、NAモデルに対してプレミアム感が大きく増しているとは感じなかった。 アクセルをゆっくり開けて行けば静かだが、出足はやや鈍くなる。むしろPWRモードで踏み始めからトルクを出して、快活に走らせる方がキャラクターには合っていると感じた。 相対的な走りは、当然ターボの方がトルキー。街中でのダッシュ力が欲しかったり、高速道路で高い速度をキープしたいならやはりこちらに軍配が上がるが、きちんと交通の流れを読んでアクセルを踏み込めば、NAモデルでも大きく見劣りしない。というかNAモデル頑張ってるな! という印象だ。そこには880kgという車重の軽さが大いに利いているのだと思う。ちなみにターボの車重は910kgと、こちらも軽い。 身のこなしは基本的に同じだが、乗り心地同様NAモデルより少し落ち着きがある。ターボを搭載してノーズが少し重たくなっているのだろう、NAでは軽快だった足周りの抑えが効いて、操舵応答性がよりリニアだ。カーブでは15インチタイヤの踏ん張りも感じるし、高速巡航時の直進性も上がっている。