「年金月額15万円を27万6000円に増やせます」メリットが大きく感じる”繰下げ受給”のデメリットに注目
繰下げ受給でいくら増えるのかシミュレーション
具体的に年金はどれくらい増えるのか、1年ごとの増額率を確認します。 参考までに、厚生年金(国民年金を含む)が15万円だった場合、金額がどのように増えるのかも確認しましょう。 ●増額率の早見表 ・66歳:8.4% ・67歳:16.8% ・68歳:25.2% ・69歳:33.6% ・70歳:42.0% ・71歳:50.4% ・72歳:58.8% ・73歳:67.2% ・74歳:75.6% ・75歳:84.0% ●月額15万円の人が繰下げ受給を利用するといくらになるか ・66歳:16万2600円 ・67歳:17万5200円 ・68歳:18万7800円 ・69歳:20万400円 ・70歳:21万3000円 ・71歳:22万5600円 ・72歳:23万8200円 ・73歳:25万800円 ・74歳:26万3400円 ・75歳:27万6000円 月額15万円の人でも、69歳まで受取を我慢すれば20万円まで増やせることがわかります。 また、最大で75歳まで我慢すれば月額25万7600円まで増やせるようです。 年金だけでここまでの収入が得られるなら、老後は安心に思えるかもしれません。しかし、実際には繰下げ受給の利用率はそこまで多くありません。 次章では、繰下げ受給の注意点を解説します。
繰下げ受給を利用する前に!必ず知っておくべき注意点
繰下げ受給は、老後を考える上で1度は検討しておきたい制度となります。しかし、検討するときは必ず注意点も把握しておく必要があります。 まず、繰下げ受給のデメリットとして1番目に挙げられるのは「加給年金額」です。 ●繰下げ受給の注意点1. 加給年金 加給年金とは、年下の妻や子どもがいる場合に支給される手当てのことです。 例えば年下の配偶者が一定の要件を満たす場合、2024年度は1年あたり23万4800円(年額)が年金に加算されます。 その他、要件を満たす子どもがいる場合にも上乗せされる”年金の家族手当”のような性質があります。 しかし、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。夫婦の年齢差によっては、総額で100万円以上受け取れないケースも発生するため、慎重に判断する必要があるでしょう。 なお、加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません ●繰下げ受給の注意点2. 税金や保険料の負担 年金が増額されるということは、税金や保険料に影響があるという点にも注意が必要です。 筆者も相談を受ける中で、「天引きされるお金が増えても、額面が増えているのだから手取りは増えますよね」と聞かれることがよくありました。 おそらく、『年金が1万円増えれば税金等が1000円程度増える』というように、比例する関係をイメージされる方が多いと思います。 しかし、税金や保険料はあるラインを超えると一気に負担が高まる性質があります。額面が1円増えただけで、税金等が2万円増える、ということもあるのです。 そのため、手取りが逆転する現象が発生してしまうこともあるでしょう。 税金や保険料を正確に試算することは難しいので、年金事務所や自治体窓口等で相談してみることをおすすめします。