リオ五輪メダルの可能性も!日本競歩陣はなぜ強くなったか?
世界陸上2日目の男子20キロでは、金メダル獲得を期待されていた世界記録保持者の鈴木雄介が、恥骨の炎症の影響もあって11キロ過ぎで棄権という結果になってしまった男子競歩。だが大会8日目の8月29日には、出場6回目となる32歳のベテラン谷井孝行が銅メダルを獲得し、27歳の荒井広宙が4位入賞を果たした。 メダル2個と入賞6を目標にした日本チームが7日目まで、メダルはおろか入賞さえなかったという悲惨な状況を救っただけではなく、鈴木で失敗はしたが、男子競歩がリオデジャネイロ五輪でも戦える種目であるということを証明する結果にもなった。 谷井は「10日前にエントリーリストを見たときに、『これならメダルを狙うレースがしっかりできるのでは』と思った」と話した。ドーピング発覚が連続したロシアは主力選手が出られなくなった状態。今年の世界トップリストを見ても5月に3時間34秒38を出しているマティ・トート(スロバキア)はダントツだが、2位は4月の日本選手権で優勝した荒井の3時間40分20秒で、自分が歩きのタイミングが合わずに調子が良くない状態で出した3時間42分01秒が3位にランキングされていた。 さらにトートの他で強敵になるのは、3時間36分53秒という自己記録を持つ08年アテネ五輪と12年ロンドン五輪で銀メダリストのジャレド・タレント(オーストラリア)や、13年世界陸上優勝者で3時間37分54秒を持つロベルト・ヘファーナン(アイルランド)、同大会4位で3時間40分39秒を持つイゴール・フラバン(ウクライナ)と少人数に絞れたからだ。 レースはトートが最初から飛び出す展開になったが、「追いかけることもできたが、暑さを考えたのと他の選手が追わないのを見て集団に残った」と、谷井はメダル狙いに照準を絞った。その狙いがうまくハマり、終盤になってタレントには逃げられたが、疲れが出たヘファーナンを抜いて3位と4位という結果を残すことができた。昨年の世界ランキングも谷井と荒井が5位、6位と、近年は記録では世界に肉薄するまでになっていた。それを今回は、メダル争いができるレベルにまで押し上げたのだ。