“狙われた”今永昇太の直球 メッツ強打者たちが明かした日本人左腕攻略の舞台裏「彼のベストピッチだからこそ」
自信のあったボールを“狙われた”。カブスの今永昇太である。 現地時間6月21日に本拠地で行われたメッツ戦で先発登板した今永。「前回も序盤はちょっとストレートの球速を落として、前回の最後の7回に93マイル(約150キロ)とか、最初は落としめで徐々に上げていくというプランニングだった」と言うが、左腕は初回から、そのストレートを捉えられた。 【動画】今永メジャーワースト、痛恨の3本目となる本塁打を許し、思わず首をふる 初回に無死一、二塁のピンチを招くと、92マイル(約148キロ)の4シームをメジャー通算323本のJD・マルティネスに3ラン本塁打を打たれて先制点を献上。さらに2回にはフランシスコ・アルバレスにも89.5マイル(約144キロ)の直球をバックスクリーン左に運ばれると、同回一死から2番のブランドン・ニモにも直球を捉えられた。 メジャーでは自己ワーストとなる3被弾を含む被安打11と打ち込まれた今永は10失点で、3回0/3での降板を余儀なくされた。 今年5月1日の初対戦では7回無失点、ヒットわずか3本に抑え込まれ、手も足も出なかった。そんな難敵となった今永に対するメッツ打線の狙いは明確だった。 それは当人たちの言葉を聞いても明らかだ。初回に今永の出鼻をくじく一発を放ったマルティネスは、ニューヨークのスポーツ専門局『SNY』で「前回の対戦より直球にキレがなかった。イマナガは素晴らしい直球を持っているし、それが彼のベストピッチだと思うんだ。だからこそ、こっちも準備しておかなきゃいけない」と告白。さらにメッツを率いるカルロス・メンドーサ監督も「うちはイマナガの直球を封じたんだ」と自慢げだ。 実際、この日は今永のボールにキレの悪さが目立った。4シームの平均球速は今季91.8マイル(約147.7キロ)だったが、90.1マイル(約146.1キロ)と低下。一方でカットボールやスプリット、カーブなども1キロ以上も減速し、勝負できる球を見いだせなかった印象である。メンドーサ監督が「直球はしっかりと準備をしていた。とくにゾーンに入ってきた直球は打てるようにしていたよ。初回から実行できていたアプローチは素晴らしかったと思う」と誇らしげに語るのも無理はない。 今後、ライバルと再戦する機会も増えていく中で、今永はいかに攻略法を見出すのか。30歳の“新人左腕”の真価が問われる夏となりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]