織田信成『マツケンサンバ』で会場盛り上げ、37歳で4回転成功へ。11年ぶりの全日本で現役ラストの舞台を飾る
目指すは37歳で4回転成功
織田が本気で挑む今年の全日本への、一番のこだわりは「37歳で4回転を跳んだ人という存在になる」こと。 現役に戻った理由の一つは、37歳での4回転成功だ。 その実現に向けての秘策は、織田が自ら韓国から取り寄せたというジャンプ強化マシン。このマシンと追い込むトレーニングから37歳の肉体は進化し、それによって意外な効果も出たという。 「最近スピンが過去一番回れているんじゃないかっていうくらい。過去イチ。昔と比べても今一番スピン回れているんじゃないかなっていうくらい、回れるようになってきたりしています」 織田のこだわりは4回転だけでなく、プログラムにもある。 今シーズンから取り入れているのが、ショート『マツケンサンバ2』。織田はこの曲で一度滑ってみたかったと思いを語る。 「どんな時でも楽しく明るくなれる曲ってすごい。滑る機会をうかがって、今かなって。全日本に出る時マツケンサンバで滑る人がいたら面白いかなと思って、それでこの曲にして」 さらに、基本的にはジャッジに向けてアピールしつつも、「楽しい空間をつくりたい」という気持ちから、客席に目を向けるときもあるそうだ。 「止まって腰を振るところはお客さんの方に向かっていつもやっています。そこも注目してください」
天下分け目の戦いの箸休め
織田は今回の全日本を「天下分け目の全日本」と表現。2026年に開催されるミラノ・コルティナ五輪のプレシーズンという特別なシーズンだからこそ、自身は「箸休め」だと語る。 「今年の全日本は、四大陸や世界選手権の代表になれるかなれないかがあり、次のオリンピック選考にすごく重要な意味を持つ大会になると思うので、天下分け目の全日本。来年も大事ですが、ここから戦いが始まっていると見ている方も感じてほしい。その舞台に私はちょっと混じらせてもらっている。カレーで言うらっきょうとか福神漬けあたり。ちょっと箸休めとして見てもらえたらいいですが、僕はそんなつもりなく全力で頑張ります」 今シーズンが現役ラストという織田だが、この全日本にかける思いは誰よりも負けていない。 「入賞を目指しています。37歳でやっぱり全日本で4回転を跳んでいる人って見たことがないので。自分で言うのもおこがましいですけど、歴史を刻みたい」 進化した37歳が全日本で新たな歴史を刻む。
フィギュアスケート取材班