織田信成『マツケンサンバ』で会場盛り上げ、37歳で4回転成功へ。11年ぶりの全日本で現役ラストの舞台を飾る
12月20日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。 この大会に11年ぶりの出場を決めたのが、37歳の織田信成だ。 【写真を見る】演技中、観客にアピールすることも注目してほしいとする『マツケンサンバ2』 織田は自分にとってのフィギュアスケートを「生きる道」だと表現。そんな彼の挑戦と現役ラストの舞台に向けての思いを追う。
息子の成長で11年の月日を実感
11月2日の西日本選手権で織田は、4回転トゥループ+3回転トゥループのコンビネーションジャンプを成功させ、ノーミス演技を披露し優勝。11年ぶりの全日本への出場を決めた。 その月日の流れを織田は自身の息子の成長で感じていた。 現役引退時に3歳だった長男が、いまはもう中学2年生となり「昨日くらいに僕の身長を抜かしました」と笑う。 10代、20代のスケーターが主流のなか、なぜ織田は全日本の舞台に帰ってきたのか。 いまから16年前の2008年、全日本選手権で初優勝をした織田。 その後もバンクーバー五輪7位など第一線を走り続け、2013年の全日本をもって現役を引退した。 ところが織田は、2022年に電撃復帰を表明。そのきっかけをこう語る。 「コロナ禍にあまり練習ができなくてスケーターとしての力もすごく落ちてしまった時期があった。もう一回取り戻したい気持ちがあって、この歳で毎日自分に厳しくなるのって本当に大変やから、逆に現役復帰してもうちょっと厳しい環境に置いたらもっと変われるんじゃないかと思って現役復帰しました。もともと試合も好きだったこともあり、その緊張感を久しぶりに味わうとすごく楽しくて、あれよあれよという間に復帰して2年が経ちました」
自分の可能性を見たくなった
しかし、2013年に引退したときは、「いつか復帰する」という気持ちはなかったと振り返る。 「当時はソチ五輪の選考があり、落ちてしまった自分としてはそこで区切りをつけようと決断しました。その間もアイスショーなどに出させてもらっているなかで、自分の中の可能性を見たくなった。フィギュアスケートは10代が活躍するスポーツかもしれませんが、その倍の年齢のおじさんも回れるぞ!あらがえるぞ!って。今の子たちを見ていて、10代で諦めてしまう子が多いなって思ったんです」 そうはいっても現在37歳の織田にとって、現実はそう甘くない。 「後半、足が動かないんです、全然。筋力が無いのか」と練習後にこぼすこともあった。 それでも織田は、若手に勝る部分があると言う。 「基本的にMなので、しんどいのは全然嫌いじゃない」「昔よりへこたれなくなりました。昔はその日の調子で一喜一憂したりすることもあって。今は良くも悪くもすごく楽しくて、若いときと比べるとさすがに落ち着いています」