"顔替え職人"が語る「ディープフェイクポルノ」の最新実態。自分の顔が知らないうちに使われる!
世の中に存在しない顔を作ることも可能だが、あらゆる表情や角度を網羅するには、やはり時間と手間がかかるという。精巧なマスクであれば、映像とのリアルタイムな合成が可能なので、ライブ配信も別人の顔で行なうことができる。 この取材はオンラインで行なったが、おすしスキー氏の顔は、存在しない架空の顔にすげ替えられていた。声もディープボイスで変えられていたが、言われるまで気づかないほどリアルだった。 ■「今晩のおかず」から「謎の研究開発」まで おすしスキー氏の顧客は映像制作会社から広告代理店、ユーチューバーやティックトッカーなど多岐にわたるが、アダルト関連の依頼も少なくないという。『FC2』などのサイトへの投稿を目的とした同人AVサークルからの依頼が多いが、中には法に触れそうな動画の制作を依頼してくるクライアントもいるという。 「"芸能人の激似"シリーズを販売したいから、AVの動画を芸能人の顔に差し替えてほしい、という依頼がありました。適切な素材を提供してくれずコミュニケーションコストがかかったこともありますし、激似と予防線を張っているとはいえ、本人の画像を使うのですから、肖像権の侵害になる可能性もある。結局、その依頼はお断りしました」 企業や組織だけでなく、一般の個人からの依頼もある。 「アダルト動画をアイドルグループの女性の顔に差し替えてほしいという依頼がありまして、これまでにアイドルのDVDから切り出した画像をもとに、4人のマスクを制作しました。それをもとに、20分程度の動画を毎月1本制作して提供しています。その方は、この2年間で、600万円以上は使っているでしょう」 ほかに、こんな変わった依頼も。 「それなりの規模の企業の幹部から一般女性の画像が送られてきて、研究開発の名目でアダルト動画の顔を差し替えてほしいという依頼がありました。作り方をグイグイ聞いてくるので、何回かレクチャーもしましたね。支払いは会社名義でしたが、なんの研究に使われているのかは謎です」 動画配信プラットフォームの運営企業も動き出しているようだ。 「ディープフェイクのプログラムを組み込みたいという相談がプラットフォーマーからありました。それを配信者にオプションとして提供し、身バレせずにアダルトライブチャットをできるようにしたいそうです。 億単位の開発費がかかるという話をしていますが、サンプルを送って進めているところです」