"顔替え職人"が語る「ディープフェイクポルノ」の最新実態。自分の顔が知らないうちに使われる!
こうした事件が多発していることを受け、知らない番号からの電話に出る際に「もしもし」を言わない人が増えているという。 さらに深刻なのは、性的な画像や動画に加工する「ディープフェイクポルノ」だ。TWICEなどのアーティストが被害に遭っているほか、インスタグラムなどで人気のインフルエンサーの顔とポルノ女優の体を合成した動画や画像が、SNS上に出回った。 それらを流通させているのは、違法な闇業者だ。彼らはSNSにサンプル動画を投稿、購入を希望する客から仮想通貨やギフトカードの番号を受け取ると、希望どおりの画像や動画を制作し、高い秘匿性で知られるメッセージアプリ『テレグラム』などを通じて納品するという。 「先日、釜山でディープフェイクポルノの動画を制作していた20歳の男が逮捕されました。彼はテレグラム上に『一般会員』『VIP』などランクごとにチャンネルを開設。入場料として2万~10万ウォン(約2000~1万1000円)を徴収し、動画を提供していたそうです。警察は、視聴していた会員が2800人に上ることを確認しています」 ■大統領が撲滅を宣言 ディープフェイクポルノは、韓国の青少年の間にも広がっている。手軽に利用できるアプリなどを使って同級生や教師の顔をアダルト動画に合成する事件が多発しているのだ。 「9月に、仁川(インチョン)市の男子高校生が女性教師の顔と別人の裸を合成したディープフェイク動画をSNSに投稿し、逮捕されました。動機を聞かれた彼は『きれいな女性だったから』とだけ答えたそうです」 この事件について、ソウル在住の中学生Aさんは「学生は自由にAVを見ることができないので、ディープフェイクで好きな人の顔を合成して、AV代わりに鑑賞しているんだよ」とあっけらかんと言う。 日本の文部科学省にあたる韓国教育部によると、今年1月から9月までに全国の中学・高校で報告されたディープフェイクポルノによる被害件数は504件に上り、833人が被害に遭った。内訳は生徒が799人で、教師が31人、職員が3人だったという。 「こうした状況から、インスタグラムのアカウントを非公開にしたり、閉鎖したりする女性が増えています」(ノ氏、以下同) 今や誰でも気軽にディープフェイク画像や動画を作成できるようになった。 「メッセージアプリ『Discord(ディスコード)』には顔交換プラグイン『InsightFace(インサイトフェイス)』が実装されていて、広く使われていました。仁川の男子高生もこの機能を使っていたとみられます。 ほかにも『Reface(リフェイス)』や『Mivo(ミボ)』など、ディープフェイク関連の手軽なアプリがいくつかあり、若い人たちに広まっていました。ただ、今はほとんどのアプリが利用を制限されたり、ダウンロードができなくなったりしています」