ヒューマン 本木雅弘、8年ぶり主演映画は倉本聰氏脚本『海の沈黙』撮影への思い大いに語る 11・22公開
公開日11月22日は〝いい夫婦の日〟。自身は、義母、樹木希林さん(享年75)に「絶対、忘れないでしょ」と薦められた7並びの平成7(95)年7月7日に也哉子と結婚。今回、妻にも助けられた。
オファーを受けて困惑していた頃、也哉子から「たまたま再放送した倉本さんのドキュメンタリー『森と老人』が面白そうで録っておいたから見てみる?」と誘われ、一緒に鑑賞。「一気に富良野塾の塾生になっちゃった気分で。やるしかないって」と吹っ切れた。撮影が始まってからは「現場で自分がどれだけできなかったっていうことの鬱憤」を、妻にはき出した。表では決して見せない顔。妻は「いつものことね」と耳を傾けてくれた。
完成作を見た妻からは「あそこまで心配していたけど成立してる。倉本さんの独特な言葉と語りの世界観に浸れた」と告げられた。「正直、意外な反応でした。やっぱり救われますよね。一番近い人に少しでも小さな丸をもらえれば」と存在の大きさに感謝する。
22年7月から8カ月間、本紙で自伝エッセー「破れ星、燃えた」を連載した倉本氏は当時、「ドラマ化されたら自分の役は?」に「演技力のあるモッくんがいい」と答えていた。そのことを聞くと、「倉本さん役? それはちょっと無理だけど(笑)。倉本さんは『海の沈黙』を『もう一度、別の角度から書き直したい』って。自分を投影しているはずの竜次もある種、最後までは辿り着いていない。まだ燃え尽きていないってことを込めているんじゃないかな」。
出航の準備は整った。
★「導かれた」富良野・聖域の書斎
本木は10月中旬、札幌のイベント時に倉本氏が住む富良野を訪問。倉本氏の〝聖域〟である書斎を「見せてくださいっておねだりしたんです」と明かした。念願かなって中に入ると、「ベッドと机、その先にサンルームがあって。天窓からは光が差し込むし、机の前のパノラマの窓からは森がうっそうと見えて」。そこでの倉本氏のたたずまいに「自分がドキュメンタリー作家だったら絶対、撮りたかった。ここに導かれてよかったなって思えた瞬間でした」と感激していた。