軍需企業を増長させたのは自民党 献金と要望をセットで受け入れ続けてきた【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#21
【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#21 政治のみこむ軍産複合体(7) ◇ ◇ ◇ 日本の防衛に必要なのか? 陸自の都合に迎合し不要な戦車を大量調達 「防衛大臣、なぜここに三菱重工会長が入っているんですか。どういう役割を期待していますか」 2024年3月の参議院予算委員会。立憲民主党の辻元清美が、防衛大臣の木原稔をただした。防衛省は前月に「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」を設けた。座長は経団連名誉会長の榊原定征。東レ出身で、安倍晋三政権の時に経団連の会長を務めた人物だ。 有識者会議には三菱重工業会長の宮永俊一が、委員として参加している。だが三菱重工は多額の兵器生産を受注している。辻元はそのことを今度は首相の岸田文雄に問うた。 「総理、今年度も1兆円ですよ、発注しています。そういう利害関係者を有識者会議、防衛政策の、任命するのは、私、たとえこの方が立派な方であったとしても、それから三菱重工のためにも、変なこと言われないように控えた方がいいと考えますが、いかがですか」 岸田は言う。 「防衛産業に関わっている方からの意見も聞かせていただくためにメンバーとして入っていただく、全体の構成を考えた場合には不自然ではないと考えます」
軍需企業を守るためにあるのでは
しかし、受注が多額なだけではない。三菱重工は21年と22年だけでも、自民党に毎年3300万円の献金をしている。辻元が指摘する。 「結局、国の根幹に関わる防衛政策の会議にその政策でもうける利害関係者を入れて多額の発注をし、自民党が政治献金を受け取る、還流している、まるでキックバックじゃないですか。こういうことが駄目だから企業・団体献金禁止をしようと言っているんですよ」 さらに驚くのは、有識者会議の要望だ。防衛費は23年度から27年度の5年間で総額43兆円。以前の計画の1.6倍にすることはすでに決まっているが、更なる増額を求めているのだ。 軍需企業が増長するのは、自民党に責任がある。献金と要望をセットで受け入れ続けてきたからだ。 だが斜陽の日本経済のもとでは、防衛費を賄っていけない。自公政権は東日本大震災の復興財源のため増税した分を流用しようとしている。騙しの手口だ。自民党にとっての防衛費は、国民ではなく軍需企業を守るためにあるのではないのか。=敬称略(この項おわり) ▽渡辺周(Tansa 編集長) 日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!