日本が常任理事国入りするためには何が必要? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
「G4」案は廃案、安保理入りは白紙に
そんなこんなで煮え切らないままアナン事務総長が示した9月になってもG4案は採決にかけられないまま廃案となり、安保理入りは白紙に戻ります。06年以後もアメリカの理解を最優先させつつG4の完全決裂も避けたいとの両天秤から始めるも、その弱腰を見透かされたかのようにまったく進展しないまま雲散霧消しています。 アメリカが日本支持の条件とする「拒否権なし常任理事国」に何の意味があるかという課題もあります。非常任理事国は再選ができない仕組みと前述しました。「拒否権なし常任理事国」では単に「再選され続ける非常任理事国」と変わりません。 実現性が取りざたされている「準常任理事国」も似た問題を抱えます。現在2年の非常任理事国の任期を延長して再選も可能とする案ですが、再選が確実でない分だけ「拒否権なし常任理事国」よりも弱く、いったん「準」がついたポストについてしまうと、常任理事国が国連結成以来60年以上その座にあるのと同様に「準」で定着しかねない。言い換えれば常任理事国になれない可能性を逆に強めるとの異論が強いのです。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】