日本が常任理事国入りするためには何が必要? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
国連の事実上の最高意思決定機関である安全保障理事会(安保理)の非常任理事国(任期2年)に日本が選ばれるのが濃厚となりました。2016年から17年までで通算11回目です。 【図表】<国連安保理>常任理事国と非常任理事国の違いは? 安保理は先の大戦の「戦勝国」の主要メンバーであるアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア(旧ソ連)が常任つまり永久の理事国です。構成はこの5か国と非常任10か国で常任5か国は拒否権を持ち、1か国でもノーを言えば何も決議できません。国連分担金がアメリカに次いで多く、国際的な地位を確固としたい日本はかねてから常任理事国になりたいむねを伝えてきました。今回の非常任理事国入りも常任理事国となる足がかりにしたいという狙いもありそうです。それはかなうのでしょうか。何が障害となるのでしょうか。過去の例から考察します。
国連憲章の改正が不可欠
日本など新たな常任理事国を認めるといった安保理の構成を変えるためには国連憲章の改正が欠かせず (1)総会で加盟国の3分2以上の賛成 (2)安保理の常任理事国すべてを含む3分の2(10か国)以上の批准(国内手続きの完了) が必要です。まずこのハードルが高い。特に常任理事国5か国は意見は違えど「永久」と「拒否権」という2つの特権を手放したくないという点では一致するので(2)をクリアするのが難題です。 総会の方はやや柔軟で発足時の1945年に51か国で安保理構成が常任5、非常任6であったのに今や約200か国。ところが安保理は1965年に非常任を4増やしたに止まっているのを問題視する声があり、1993年に総会が安保理の構成や総会との関連性などを見直す部会を置き、同年、日本も「安保理でなしうる限りの責任を果たす」との表現で公に常任理事国入りへの興味を示します。97年にはラザリ総会議長が常任理事国へ先進国から2カ国、開発途上国から3か国を増やすとの改革案を示しました。 大きな動きのきっかけは05年3月、アナン事務総長が国連改革報告書を示し安全保障理事会(安保理)拡大を支持した上で「常任理事国を6カ国増やす」などの案を検討して9月の国連創設60周年までに決めるように求めたのに始まります。