石川遼、通算20勝は史上5番目の年少記録「これからが勝負」長年続けたスイング改造に手応え
<国内男子ゴルフツアー:三井住友VISA太平洋マスターズ>◇最終日◇10日◇静岡・太平洋クラブ御殿場C(7262ヤード、パー70)◇賞金総額2億円(優勝4000万円) 石川遼(33=CASIO)が逆転で今季2勝目、史上12人目となる節目のツアー通算20勝目を挙げた。5バーディー、2ボギーの67で伸ばして回り、通算11アンダー、269。大会最多の4度目の優勝となった。華々しいデビューから苦しい時期もあったが「これからが勝負」と意気込んだ。1打差2位に谷原秀人と河本力。単独首位発進した金谷拓実は72とスコアを落とし、10位に沈んだ。 ◇ ◇ ◇ 小雨が降りしきる中、石川は喜びを爆発させた。20センチのウイニングパットを決めると、大きくバンザイをした。大会最多の4度目の優勝。2、3度目Vも雨。今回も祝福の雨となった。 最後の最後に勝負を決めた。谷原秀人、河本力と通算10アンダーで並んで迎えた最終18番パー5。2オンに成功。左手前から8メートルのイーグルパットは「極限の中で打ったパットでは100点」。難なくバーディーを決めた。 17番の“失敗”を生かした。バーディーパットの直前。ボードを見て、単独首位だった谷原が18番でボギーをたたき、首位に並んだことを知った。約5メートルのバーディーパットは力んで約1・2メートルオーバー。「初めてがっついた」と振り返った。「あんなタッチで打つつもりはなかった。状況に左右されたんだな。まだまだだなと。でも逆に落ち着いた。あ、出た出たと。あそこで何も知らないでいったとしたら、18番のパッティングでがっつく癖が出たと思う」。過去19勝のうち逆転Vは8回で、直近3回はすべて逆転V。今回も勝ちきる強さを見せつけた。 33歳54日での通算20勝は史上5番目の年少記録。決して順調ではなく、理想とギャップの現実に苦しんだ時期もあった。19年に3勝も「ごまかしてやっていく天井が知れた」。29歳だった20年3月、田中剛コーチと契約。従来よりトップをかなり浅くした大胆なスイング改造に踏み切った。以降、長年スイング改造を続けるが「目指している以上のスイングになっている。まさかここまでこられるとは」と手応えを感じている。「大きな意味で切り替えたのが29歳で良かったなと。根本から見つめ直すのが29歳で僕は幸せです」。 20勝目の節目にも「そこまで強い思いはない。正直、20という数字には実感がない」と通過点を強調。「もっとフィジカルも鍛えていけば自分のキャリアも伸ばせるだろうし、まだチャンスはあると日々やっている」。10代で9勝、20代で8勝、30代で3勝。「29歳まで突っ走ってきた。これからが勝負だと思っている」。ゴルフと向き合う日々を続け、優勝回数を伸ばし続ける。【近藤由美子】