沼津発!アジのハイブリッドフィッシュ誕生へ 内浦漁協、ベンチャーと新品種の世界初養殖事業
沼津市の内浦漁協が、ともにアジ科の魚「カイワリ」と「マアジ」を人工交配させたハイブリッド魚の養殖に今年から取り組んでいる。世界的に魚の需要が増す一方で、国内の漁獲量が減る現状を養殖で打破しようと東京海洋大発のベンチャー企業「さかなドリーム」(千葉県館山市)が発案した。同社によると、同品種の養殖は世界初の試みで、来年の出荷を見込んでいるという。今月中にハイブリッド魚に新たな名前を付け、発表する。
同社は、東京海洋大が開発したハイブリッド魚の生態的特徴に注目し、養殖の事業に着手した。マアジの1・5倍で成長。自然環境では交配ができず、品種流出や生態系への影響も防ぐことができる。脂がのった天然シマアジに似て、万人受けする味という。
養殖場は千葉県に加え、日本一の養殖マアジの生産量を誇る内浦漁協を選んだ。同漁協からは「担い手や種苗不足を解決できる可能性がある」と歓迎を受けた。8月に初種苗し、同漁協が沼津市西浦木負付近の海上のいけすで育てている。
18日に報道陣に向けて公開し、体長10センチほどに育った個体を確認できた。現在、同漁協では約7千匹を管理している。餌やりなどをする養殖漁師の日吉勝也さんによると、マアジよりも水温の変化や病気に強いという。日吉さんは「高水温の夏を乗り越え、今のところ順調」と手応えをつかむ。
来年の夏までに、25~30センチほどの大きさで出荷を予定している。同社の石崎勇歩さんは「漁獲量が減る中でも、おいしい魚を安定して提供したい」と話した。