空き家の理由1位は『物置として必要だから』それはつまり、親の思い出の品が整理できないことでもある 過去最多900万戸のワケをひもとく【MBSニュース解説】
総務省によりますと、空き家の数は、過去最多の900万戸。特に問題となっているのが「放置空き家」で約385万戸あります。今はまだ空き家で はないけれど、現在親が住んでいる家を将来どうしよう、と考えている人もいることでしょう。 『孫・ひ孫・玄孫・来孫』相続人が"93人"いる空き家 50年以上放置されて…
◆倒壊、治安悪化の『外部不経済』
空き家に関連して、「外部不経済」という言葉があります。古くなった家が倒壊して隣家に被害が出る、ネズミや害虫で被害が出る、放火・治安悪化・不法投棄などがあって結果的に地域の地価が下がるなど、周辺に影響を及ぼすというものです。 もちろん一戸建てだけでなく、集合住宅やマンションの空き家問題も同じです。空き部屋が増えると、管理費や修繕費は残っている人だけで賄わないといけない、やはり外部不経済と言われています。
◆空き家になる理由“思い出の品、整理ができない”
空き家実態調査からは興味深い結果が出ています。空き家にしている理由で、最も多いのは「物置として必要だから」というもの。 物置と言っていますが、物は例えば、“親や家族の思い出の品”、その整理ができないということも含まれるそうです。例えば実家を片づけに行っても、やり切れずそのままにして戻る、といったことのようです。 他の理由として、「(家は)継いだけど(別のところに住むなどで)必要はない」とそのままにするケースや、「相続する関係者で意見が割れ」、そのままにするケースがあるということです。
◆解体して更地にしないのは?背景に固定資産税か
空き家が廃墟化する前に、更地にしないのはなぜでしょうか。家を解体して更地にすると、固定資産税が約4倍多くかかるというのです。 逆に言うと、家を建てて住むことについての減税があり、固定資産税を6分の1に減額します、という制度があり、住宅が放置される背景にあるかもしれません。 ただ、空き家の増加を防ごうと制度は新しくなっています。「特定空き家=放置すると倒壊などのおそれのある空き家」については、すでに減税などの優遇はなくなっています。 さらに今年から、特定空き家ほどではないが、窓や壁が破損するなど管理不十分な状態を「管理不全空き家」と定め、やはり減税・優遇をなくすという制度を始めました。