「チャットGPT」開発の米オープンAI、営利企業に転換へ…安全対策が後回しになる懸念も
【ニューヨーク=小林泰裕】対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を開発した米オープンAIは27日、営利企業へ転換する方針を発表した。非営利組織主導の構造を見直し、生成AIの開発に必要な資金を投資家から集めやすくする狙いがある。
現在のオープンAIは非営利組織で、中間持ち株会社を通じて営利子会社を監督する複雑な体制となっている。これを営利企業が主導して運営する体制に改める。営利子会社をパブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)と呼ばれる公益を重視する営利企業に転換し、毎週3億人が利用するチャットGPTの運営や開発などを主導させる。転換後はマイクロソフトなどが株主に名を連ねるとみられる。非営利組織は株主として残るが、主に慈善活動を行うという。構造転換で利益重視の姿勢が強まり、安全対策が後回しになるとの懸念も指摘されている。
現在、オープンAIに出資した投資家が得られる収益には「投資額の100倍以下」という制限が設けられているが、この制限も見直す。一般の企業に近い構造に転換することで、グーグルなどの競合他社と同様の条件で資本を調達できるようになるとしている。
オープンAIは10月、ソフトバンクグループなどから66億ドル(約1兆円)の資金を調達したと発表した。2年以内に営利企業に転換できない場合、投資家は資金を引き揚げることができると報じられている。
開発費の高騰でオープンAIは今年、50億ドル(約8000億円)の赤字に陥るとも報じられている。投資家から資金を集めやすくすることで、財務状況を改善させる狙いもある。
オープンAIは2015年に非営利組織として発足し、19年に営利目的の子会社を設立した。