子どもの権利も子どもの貧困も、大人の約5割「聞いたことない」
子どもの様々な権利を守るには、周りにいる大人が子どもの権利を知ることも大切だ。しかし、公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が11月末に発表した調査によると、大人の約5割は子どもの権利条約を「聞いたことがない」と回答。普及啓発が課題になっている。 【写真】体罰や厳しさ懐かしむ大人へ あれは子どもの権利侵害だったと知って 同法人は今年7月、子どもの権利と貧困に関する社会の意識を把握するためアンケートを実施。全国の約3万人(15~17歳の子ども2163人と大人2万7837人)から回答を得た。 条約について内容まで「よく知っている」と答えた大人は3.7%にとどまり、「少し知っている」は12.6%、「名前だけ聞いたことがある」は36.1%、「聞いたことがない」は47.6%にのぼった。 また日本における子どもの貧困の実態について大人の48.9%が「聞いたことがない」と回答し、2019年の前回調査より20.1ポイントも増えた。同法人は少子化で子どもの存在が身近でなくなっていることや、子どもの貧困に関する報道が減っていることも要因とみている。 一方、子どもの権利条約を内容まで「よく知っている」と答えた大人に限ると、子どもの貧困の実態について「よく知っている」と答えた割合は43.6%と、大人全体(2.9%)を大きく上回った。貧困問題への関心も約3.5倍高く、国内事業部プログラムマネジャーの田代光恵さんは「子どもの権利を知っているかどうかは、子どもの貧困をどういった形で解消していくのか、何を保障していくのか、社会のあり方を考えるときにも非常に重要」として、関係省庁や自治体に子どもの権利の普及啓発を求めていくという。
朝日新聞社