「ガシャポンから丸いカプセルが出てこない」常識を覆す変貌を続けるカプセルトイ業界…ファン同士の交流も生み出す“推し活”との親和性
■“90mmカプセル”、“キャッシュレス決済対応”まで…「まだまだ拡大する可能性を秘めている」
商品開発においては、「なるべく早いタイミングでトレンドやお客様の需要をキャッチして、全方位に商品を展開できるよう頑張っています」と五十嵐氏。大切にしているのは、「お客様が欲しいと思うものを届けたいという思いと、カプセルの中から何が出てくるかわからないワクワクとドキドキをさらに高めること、また、カプセルを開けたときに、『こんなところまでこだわっているんだ』と驚いていただけるクオリティ」だと語る。 フラットガシャポンはまさにその思いの表れだが、今年8月には、さらにカプセルトイの常識を超える超BIGな「90mmカプセルシリーズ」を発表。手のひらに収まりきらないほどのサイズとより再現度が高く迫力ある仕様で話題を集めている。 2021年には、100円硬貨5枚、500円硬貨4枚まで利用できるようにしたことから、最大2500円の商品まで発売できる「プレミアムガシャポン」も登場。決済方法も進化させており、2019年からは交通系電子マネーや二次元コード決済など、キャッシュレス決済に対応した「スマートガシャポン」を展開。2022年にはさらに現金決済にもキャッシュレス決済にも対応する自販機「ガシャポンステーションW」を世に送り出した。 さまざまなアイデアと工夫で市場を拡大しているガシャポン。五十嵐氏は今後について、「専門店は今後も増え、一過性のブームにとどまらず、まだまだ拡大する可能性を秘めている」と分析する。さらに、海外で展開しているガシャポン専門店も非常に反響が良いことから、「今後はさらにワールドワイドでガシャポンが拡大していくのではないかと考えています」と胸を張る。 何が出てくるかわからないワクワク感で、登場当時に子どもたちを魅了したカプセルトイの魅力は“変えず”、値段以上のクオリティや、意表を突く商品ラインナップなど、常にユーザーに驚きを与えるべく“変化”を続けているガシャポン。その快進撃はまだまだ続きそうだ。 取材・文/河上いつ子 (※)バンダイ調べ PROFILE/株式会社バンダイ ベンダー事業部 事業開発チーム 五十嵐達志 高校時代から楽しいことを仕事にしたいという思いでバンダイへの入社を目標に掲げ、玩具専門店でのアルバイトを経て大学卒業後、バンダイに入社。カード商材や玩具などの企画開発を担当し、2016年にベンダー事業部に配属。「プレミアムガシャポン」や「フラットガシャポン」、「ガシャポンオンライン」などガシャポン全般のインフラ開発に携わっている。