2年間、公式戦出場なし→地元に復帰。「ミネルバ宇部が人生のすべて」と語るキャプテン・阿部なるみが次世代に託したい想い【インタビュー|女子Fリーグ】
ミネルバ宇部のキャプテン・阿部なるみは、女子Fリーグレギュラーシーズンの最終節後、記者会見で涙を見せた。 【画像】女子Fリーグ週間ベスト5一覧 第1ピリオドはアニージャ湘南の攻撃を体を張った守備で無失点に抑えたが、第2ピリオドに2失点を許してタイムアップ。宇部は、勝ち星を挙げることなくレギュラーシーズンの戦いを終えた。 今シーズンから宇部のキャプテンを任されている阿部には、どうしても勝ちたい理由があった。 「最後は地元で活躍したい」 昨シーズンまでの2年間は、SWHレディース西宮で一度も公式戦に出場できなかった。苦しい時期を経て、彼女が下した決断は“復帰”だった。「地元の子たちに、外の世界での経験を伝えていくことが役割」だと、悟った。 阿部にとって、「宇部は人生のすべて」だと言う。自分をつくったもの、生きる希望となってきた居場所。自分がそうやって、このクラブに力をもらってきたからこそ、次の世代に託したい想いがある。 一生懸命に戦う姿。ただし、勝ち負けを度外視していいワケがない。絶対に勝ちたい。そんな想いを背負って戦い続けてきたからこそ、今シーズン、10試合を戦って引き分けの勝ち点1しか挙げられない悔しさばかりが募った。 「全員で勝ちたいと思います」 記者会見の最後に、そう強く、彼女は話した。宇部は、阿部は、ファイナルシーズンでどんな姿を見せるのか。 インタビュー・文=伊藤千梅
“フットサル”でつながる輪
──レギュラーシーズンを振り返っていかがですか? シーズンが始まった頃は攻める時間をまったく作れずに防戦一方でしたが、試合を重ねるにつれて、自分たちがボールを保持して攻撃する時間も増えてきました。少しずつやりたいことや練習してきたことを出せるようになり、進歩している印象です。ただ最後の決定力がまだまだ足りないと思っているので、そこがレギュラーシーズンを通しての課題だったと感じています。 ──今のチームの雰囲気はどうですか? 7月、8月にブラジル人の2人が入ってきてくれてから、チームの雰囲気が明るくなりました。練習はポジティブな雰囲気で取り組めていますし、試合も2人が引っ張ってくれています。逆に自分たちも2人が頑張ってくれている分、責任をもってやらないといけないという自覚にもなっていると思いますし、いい流れができているんじゃないかなと思います。 ──ブラジル人の2人とは普段どんな会話をしますか? 2人は今は日本語がわからない状態なので、言葉以外の部分でお互いに感じ取りながらコミュニケーションをとっています。人と人のつながりはすごく感じていますし、言葉の壁があっても通じ合えるのは、“フットサル”という共通のものがあるからだと思います。国を超えて一緒にプレーができていることは、中学生や高校生といった若い年代の選手にとってもいい経験です。今こうして2人とプレーしている時間は、これからの人生に残る一瞬になるんじゃないかなと思っています。
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