メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
300SLロードスターの誕生
1957年、ガルウイングクーペに続いて「300SLロードスター」(W198)が登場。先述の300SLガルウイングクーペ/190SL同様に、このクルマもマクシミリアン・エドウィン・ホフマンの主導で生産された。 とくに乗降において、文字通り高い敷居となっていたサイドシルを下げるため、フレームは再設計。ドアは前開きに、ウインドウも開閉可能となった。1961年頃からこれまで大型のアルフィンドラムであったブレーキは、前のみディスクに改良されている。当時のロードスターの発売価格は3万2500マルク。クーペからラグジュアリーなロードスターへとバトンタッチされ、ここに現代のSLに続く豪奢なロードスターが完成した。
各300SLの生産台数
300SLは、ガルウイングクーペが1954年8月から1957年5月まで1400台が生産され、ロードスターが1957年2月から1963年春までに1858台生産された。また300SLは限定生産だったが、手軽に北米に輸出することを主眼として価格的にも手頃だった190SLが1955年から1963年春まで2万5881台生産された。アメリカでは現在、愛好家の集い・ガルウイングクラブが盛んに活動している。
妻谷裕二