激安! 青春18きっぷ+フェリーで韓国・釜山へ行ってみた
青春18きっぷと組み合わせたキャンペーンを使って、日本人の旅行先ナンバーワンの韓国にフェリー片道4500円+αで格安旅行してきました。フェリーの飲食設備や通信環境問題などをレポートします。 【もっと写真を見る】
インフレによる物価高と円安で、割高になっている海外旅行。日本から近いこともあり、そんな状況でもほかの国より少ない予算で遊びに行けるのがお隣の国、韓国です。なかでも筆者が最近はまっているのが、朝鮮半島の南東に位置する釜山(プサン)。街がコンパクトにまとまっている上、海鮮や焼き肉など、美味しいグルメもあって大人気です。 韓国・釜山に行くなら飛行機か船 今回は激安割引きの「関釜フェリー」で 釜山へ行く方法は2種類あり、ひとつ目は日本各地の空港から飛行機で行く方法。ふたつ目が、釜山は港町ということもあり、船で行く方法です。以前、連載記事「九州旅行のついでに行っちゃえ韓国! 博多釜山が船で3時間半でした」でも紹介した新型の高速船「クイーンビートル(Queen Beetle)」に乗って行くほか、大阪南港や 比田勝港・厳原港(対馬)からも船でアクセスできます。 そのなかでもめちゃくちゃ安いと注目を集めたのが、山口県の下関港~釜山港を結ぶ「関釜フェリー」(2等旅客運賃)を半額の4500円で乗れるというキャンペーンです。往復で予約すれば9000円(片道ぶんの料金)で韓国に行って帰ってこれるのだから、これは見逃せませんよね。というわけで、筆者もこのフェリーに乗って釜山に旅立つことにしました。 ちなみに、この激安割引き運賃は「青春18きっぷ旅 大応援キャンペーン」というもので、その名のとおりJRが発売している使用期間限定の特別企画乗車券「青春18きっぷ」と組み合わせたもの。割引き運賃の利用期間は、青春18きっぷの利用期間と同じく、春は3月1日から4月10日まででした。まだ、夏期以降の青春18きっぷ発売については案内されていませんが、もし同じようなキャンペーンが実施されたら、積極的に活用したいところです。 用語解説 青春18きっぷ JR線の普通列車・快速列車が1日乗り放題となる特別企画乗車券。1枚のきっぷで5回、もしくは5人ぶんのグループ利用が可能となり、改札でスタンプを利用回数あるいは人数ぶん押してもらう仕組み。 例年は(利用期間:3月1日 - 4月10日)、夏期(利用期間:7月20日 - 9月10日)、冬期(利用期間:12月10日 - 1月10日)と年3回発売されており、価格は2024年春期で1万2050円。名前から勘違いされやすいが、使用に際して年齢制限はない。 (次ページ:青春18きっぷ+フェリー、どういう仕組み?) どうやって買う? ほかに費用は? 青春18きっぷ+フェリーで海外旅行 「青春18きっぷ旅 大応援キャンペーン」を利用するためには、まず関釜フェリーに電話で事前予約をし、「青春18きっぷ旅大応援割引き」であることを伝える必要がありました。ちなみに予約の際は、パスポート番号なども伝えます。 あとは各自好きなルートで「下関港国際ターミナル」へ行き、乗船日に有効な青春18きっぷを提示して、乗船手続終了時間(18時)までにチェックインすればオーケー。ちなみに青春18きっぷに押されているJRの改札スタンプは1つに対して1名が割引きになるため、未使用では使えません。また、この割引きは下関での購入時のみ有効で、釜山から片道だけの利用は対象外のため、往復で購入するのがベストです。 筆者は一人旅でしたが、例えば青春18きっぷの上限となる5人で下関まで電車移動し(広島からは4時間半ほどで到着)、18時までにチェックインすれば、関釜フェリーの2等旅客運賃(往復)が5人ぶんが半額となり、往復で4万5000円もおトクになるという計算です。 ただ、フェリーは旅客運賃のほか諸費用がかかります。下関発は施設使用料が620円(満12歳以上/6歳~満11歳:310円/満0歳~満5歳:無料)、燃油サーチャージが1300円(満1歳以上/満0歳:無料)、国際観光旅客税が1000円(満2歳以上/満0歳~満1歳:無料)。釜山発は施設使用料が7000ウォン(満6歳以上:約776円/満0歳~満5歳:無料)、燃油サーチャージ料1万3000ウォン(約1440円/満0歳:無料)が必要。 筆者の場合、2等旅客運賃9000円(往復)に諸費用をプラスし、合計1万4200円弱といったところ。この価格で海外を往復できちゃうのはうれしいですよね。ちなみに燃油サーチャージは毎月変動して、上記の価格は記事執筆時2024年4月のもの。筆者が利用した3月は、下関発が1400円、釜山発が1万4000ウォンで、現在より200円ほど高かったです。 (次ページ:フェリー内には大浴場やカラオケも!) フェリー内には大浴場やカラオケも! 寝て起きたら釜山港です 関釜フェリーの運航スケジュールですが、下関港を19時45分に出港し、釜山港へ翌日朝8時に着船予定。復路は釜山出港が21時、下関港に翌朝7時45分に到着する予定です。使用するフェリーの点検などで欠航日はあるものの、基本的に毎日運航しています。そのため、関釜フェリーには日本船の「はまゆう」と、韓国船の「星希」の2隻を使って運航しています。 2隻の船は設備など大きな違いはなく、船内にはレストランや大浴場などが備わっています。細かな違いで言うと、韓国船の星希は2等室が10人以上でいわゆる雑魚寝の広間タイプのみに対して、日本船の「はまゆう」は広間タイプのほか2段ベッドが並ぶドミトリータイプの部屋もあります。2段ベッドタイプのほうが若干プライバシーは保てるので、はまゆうの場合は予約時に希望しておくのがオススメです。 また売店に関しては、「星希」のほうがお菓子やカップ麺などを売っているコンビニがあるので購入しやすく、はまゆうも免税店はあるものの、品数としては少なめです。ただし必要最低限のものは販売しており、自動販売機でカップ麺やアイス、ビールなどのアルコールも購入可能です。 通貨は日本円がそのまま使えて便利 食べ物や飲み物は一部持ち込みも可能 利用できる通貨はどちらの船も日本円が使えます。韓国船の星希も自動販売機は日本円なので、基本的に日本円を持っていれば問題ありません。クレジットカードに関しては、日本船のはまゆうのみ、免税店で下関発着時のみ利用可能。なので基本的には現金を用意しておきましょう。 ちなみに下関駅周辺には大型のスーパーもあるので、食べ物や飲み物などを購入して持ち込むことも可能。船内には電子レンジや給湯器もあります。釜山からもそれは同じですが、検疫の関係で肉類などそれぞれの国に持ち込めないものもあります。食料は船内で食べるぶんだけにしておきましょう。 (次ページ:Wi-Fiは使える?) Wi-Fiは使えないので要注意 スマホやPCの充電は共有 気になるのは電源とインターネット接続ですが、どちらも2等室だと厳しいです。電源は各部屋に2ヵ所ほどなので、10人ほどで共有して使うことになります。これはベッドタイプの部屋も同じで、ベッドに電源はありません。なのでモバイルバッテリーを用意しておいたほうが無難です。 また船内にはWi-Fiもなく、インターネット接続サービスも提供していません。なので乗船中は諦めて寝るか、動画などを観たい場合はあらかじめダウンロードしておきましょう。ただし、出港してからもしばらくは意外とモバイル通信の電波はキャッチできます。さらに下関と釜山も朝6時くらいには港付近に到着しているので、そこでも電波を掴んで通信できます。 2等旅客運賃の30%割引きも若干空きあり GWに船旅してみる? というわけで、格安の海外旅行が実現できる関釜フェリー。今回の「青春18きっぷ旅 大応援キャンペーン」だけでなく、2等旅客運賃が30%割引きとなる「インターネット予約割引き」を提供しています。GW期間中(4月27日~5月6日)のインターネット予約割引きは2等客室で片道7200円となるものの、原稿執筆時の4月16日時点では、まだ若干空きがあるようです。もしGWの旅行を決めていないなら、釜山への船旅を検討してみるのもオススメですよ! この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama) 世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン) 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン) 文● 中山智 編集●こーのス