目黒蓮が『海のはじまり』で最もつらそうな顔をした瞬間、子どもの口から出た“鋭利な刃”の一言とは
海(泉谷星奈)が弥生(有村架純)に連れられていった美容室には今田美桜がいた。 『いちばん好きな花』のコラボが楽しめた月9『海のはじまり』(フジテレビ 月曜よる9時~)。第11話のサブタイトルには「ママはいない人なの?」という、いまさらながらなかなか深刻な問いがあった。 【画像】月9ドラマ『海のはじまり』より(全8枚)
大切な人の喪失の乗り越え
死ぬとはどういうことか、残された者は亡くなった人に対してどうしたらいいのか。人類史上かなりの難問を解くヒントは第1話にも登場した絵本「くまとやまねこ」(作:湯本香樹実、絵:酒井駒子)である。 くまは仲良しのことりの亡骸を箱に入れて持ち続け、まわりの動物たちにも見せ続ける。いつまでもことりの死を忘れることのできないくまだったが、ある日、転機が訪れて……。この絵本、『海のはじまり』効果でとっても売れているとか。 大切な人の喪失の乗り越えかたは人それぞれで、時間をかけるしかない。そのかける時間もまた人それぞれである。海(泉谷星奈)たちは、水季(古川琴音)が亡くなってから悲しみの日々を過ごし、ようやく新たな生活を送る決心をした。海は実家(南雲家)を出て、夏(目黒蓮)と暮らすことになり、転校し、名前も南雲海から月岡海に変える。 誰もが心の整理をつけたつもりだったが、いざ、新たな生活をはじめたら、いっそう水季の不在が色濃くなってしまう。海は、自分のせいでみんながさみしくなってしまうと考えはじめ、なんでこんなことになったのか掘り下げていくと、海が生まれたとき、夏がいなかったことが要因ではないかと、あまりにも鋭利な刃を夏に突きつけた。
夏の顔は、これまでで最もつらそう
クライマックス、「なんでママいないっていうの?」「いなかったの夏君じゃん」という言葉にショックを受けた夏の顔は、これまでで最もつらそうであった。いや、回を追うごとに辛い顔をアップデートしていっているような気がする。修行僧のような夏。俳優にやるせない顔をさせたら天下一品のジョン・ウンヒ演出。 ひとりで図書館に行っていた海を迎えに行けば、津野(池松壮亮)に、いるとかいないではなく、いたとかいなくなったの話であり、水季が亡くなるとき「お前いなかったもんな」と「お前」と乱暴な口調で責められ、もう散々という感じであった。最終回はどうなってしまうのか。これがピークで最終回は最高の笑顔になってほしいものである。夏よ悟りを開け。 大切な人の不在とどう折り合うか、懸命に努力しているのが津野や海や朱音で、夏の場合は水季の死の実感がないと津野には思われている。ただ、夏の場合は学生のときに、水季をすでに一回失って、恋の喪失と折り合いをつけているので(肉体の死ではないとはいえ)、責められるのは酷だなと今度ばかりは、夏をかばいたい気持ちになった。