目黒蓮が『海のはじまり』で最もつらそうな顔をした瞬間、子どもの口から出た“鋭利な刃”の一言とは
妊娠がわかったときの夏の対応に問題が…
そもそも水季が勝手に堕すことを決めたのだ。でも、たとえどんなに水季が勝手であろうと、あのとき夏は何がなんでも水季を説得し、考え直すことを促し、芽生えた命を共に生かす方法を考え、それでも産婦人科に行く水季に来なくていいと言われてもついていくべきだったと、海――あるいは全女性から責められているような状況に置かれている夏。 そんな~というのもあるとは思うが、それだけ命は大事なものなのである。命はすべて祝福されて然るべき。子どもには生まれてきてくれて嬉しいというポジティブな感情を常に示さなくてはいけないのだと思う。 子どもができたとき、夏が躊躇してしまったのは事実であり、そのためらいが「海、最初からいなければよかった?」と子どもを不安にさせてしまうのだ。海が家を出たことで穴が空いたようにさみしい気持ちになる朱音(大竹しのぶ)にも海は罪悪感を抱き、海のために身を引いた弥生(有村架純)にも罪悪感を抱く。 まだ幼い海が、四方八方の大人たちに気を使わないとならなくなっているのは、すべて、妊娠がわかったときの夏の対応に問題があったということなのだ。
深い海の底にひとりいるような孤独を見せる海
これまで、大人たちにあどけなさを振りまき愛されようとしてきた、やや小悪魔的だった海が、第11回では深い海の底にひとりいるような孤独を見せる。誰もいない家に、ひとり帰るのは、海にとって初体験。慣れない帰り道、登戸の南雲家の近辺よりもちょっと都会になった経堂の街並み、歩道橋の上にいる小さな小さな海。 帰っても誰もいない部屋にただいまを言っても水季の気配もない。これまで、肉体はもうなくても水季を感じていた海が、夏の部屋では水季を感じることが難しい。ベッドマットに触れ、ここにいた?と面影を探しても、このベッドに長く寝ていたのは弥生だと思うとやるせない。 ドラマではそこは触れていないが、この部屋には弥生の痕跡ばかりが濃厚だろうなと思う。海は弥生が好きだからいやではないだろうし、逆に、弥生をここから追い出してしまったのではないかという気持ちによけいになるのではないだろうか。余計なお世話だが、思い切って、新居に引っ越すべきだったのではないか。せめてマットは新しく買ったのだろうか。そんなことが気になってならない。