IQ70で軽度知的障害の女性、いじめや不登校よりも「障害を受け入れることが一番難しい」 ”境界”にいるからこその苦悩
IQ70で軽度知的障害を持つ、えりかんさん(23)。保育園から高校まで、加配や個別指導計画なしの”通常学級”で過ごし、集団生活でのいじめ、学習面での”高いハードル”を感じていました。「周りの子と何かが違う」と違和感がありながらも、目をそらして生活する日々…。一番切実な課題だったのは「自分の障害を受け入れること」だったと言います。「私には、通常学級の選択肢しかなかった。私のような失敗はしてほしくない」と話す彼女に、障害を受け入れるまでの苦しみや葛藤を聞きました。 【画像】「学習障害だと思っていたのに…」えりかんさんが高3で知った、衝撃のIQ検査の結果
■「頑張ればできるから」と言われ”通常学級”に、思い悩むも「周りの目が気になっていた」
えりかんさんは4歳の時に療育手帳を取得するも、通常の幼稚園・保育園で幼少期を過ごしました。「言葉が出てこない」など、発達の遅れは見られましたが、特に問題視されなかった理由には「保育園に入って、各段におしゃべりができるようになったこと」「妹が重度の知的障害で、家族が妹の世話にかかりきりになっていたこと」が背景にあると話します。 「なぜ普通の幼稚園、保育園に入れたのか、実は今でもよく分かっていないのが現状です。保育園に入って、だんだん言葉が話せるようになって。ゆっくりではあるけれど、成長が見られたので『頑張ればできるから』と。おしゃべりができるようになったことが、大きなポイントだったかもしれないですね」 小学校入学時も、支援学級に行く話は出ず、通常学級で過ごすことに。担任の先生からも「お話がすごく上手」と言われ、特に問題が起こることもなし。勉強の遅れは少なからず感じていましたが、暗記すれば良いものは、頑張れば覚えることができます。この時は「周りの子より、多少時間がかかるだけだ」と楽観的にとらえていましたが、小学校中学年(小3・小4)になると学習面で違和感を抱くように。小学校3年生の時、初めて支援学級への移動が検討されました。 「1週間のうち、決まった曜日の決まった時間だけ支援学級で体験授業を受けていました。当時“漢字”や“計算”を習っていた私からすると、支援学級の授業内容は簡単すぎるもので、通常学級で受けていた内容との大きな差を感じました。ここで問題になったのは、同じ小学校に姉が通っていたことです。私が学級を移ることで目立ってしまうので、本当に移動していいか不安がありました。 私がとてもショックだったのは、当時よく遊んでいた友達に『私が支援級に移ったら、どう思う?』と聞いたところ、『えっ…無理。友達止める。一緒に遊ばない』と言われたことです。お友達と遊ぶことが唯一の楽しみだった私は、余計に踏み出せなくなりました。これらの問題は、小1の最初から私が支援級に行っていれば、感じることのなかった悩みだったと思います」 その頃から「自分が普通じゃない、ということは分かっていました」とえりかんさん。「でも自分の“障害”については、良く分からなかった。普通級で頑張りたい。『なんで?』という思いだけ、ありました」。