オリックスの助っ人左腕が語った「日本文化とセカンドキャリア」
オリックスの左腕アンドリュー・アルバース投手(33)は、オフになると故郷の母校・教壇に臨時教師として立つというもうひとつの顔を持つ。今季オリックスの新外国人として1シーズンを終えたアルバースは、19試合に登板して9勝2敗、防御率3.08の成績を残した。腰を痛めてシーズンの終盤に6週間、登録を外れて戦力にならなかったが、球団は、夏場に2019、2020年の2年契約を推定年俸、180万ドル(約2億円)で結んだ。アルバースは、出身地であるカナダのサスカチュワン州ノースバトルフォードへ戻り、カナダ放送協会(CBC)の取材を受けて、オリックスでの野球について語った。 「自分にとってオリックスは良い境遇だった。シーズンの前半についてはとても満足している。良いスタートだった。バックでは、守備陣が助けてくれたし打線も得点を取ってくれた。凄かったと思う。だが、終盤は、そこまで良くなかった。腰を痛めて、最後の6週間を欠場した。もっと良い終わり方ができれば良かったんだがね。新しい契約に合意できて嬉しかったよ。来年もチームに貢献したかったんだ」 アルバースは、2013年から2017年シーズンの間、ミネソタ・ツインズ、トロント・ブルージェイズ、アトランタ・ブレーブス、シアトル・マリナーズで26試合に登板した。その間、2014年の1シーズンだけは、韓国でプレーしている。アジア文化には抵抗力がついていたはずだが、日本での生活には「驚きが続いている」という。 「レストランでは、皿に何が載ってくるか、わからないから頼む前に少し躊躇するんだ(笑)。時々、彼らは僕を驚かせてくれるよ」 海外からの観光客が増え、ほとんどの飲食店で英語が通じるし、しかも、道を歩けば、アメリカナイズされた飲食店にぶつかるほど、今や外国人にとって日本の異文化感は消滅しかけているが、アルバースには、まだまだ戸惑いがあるようだ。 アルバースはオフには、母校で臨時教員をする異色のプロ野球選手である。ケンタッキー大時代に教員免許を取っているアルバースは、この7年間、母校のジョン・ポール・セカンド高で、数学、フランス語の臨時教員を務めている。CBCの記事では、そのことについても「アルバースの2つ目の情熱」として紹介されている。だが、今オフは、痛めた腰の治療に専念するため、臨時教員は封印するという。 「彼は、野球以外にも、情熱を注ぐ教育に携わり続けることができている。だが、腰の故障を直し、2月から長く続く日本のトレーニングキャンプに戻らなければならないため、この冬は、教師の仕事はあきらめるだろう」 同メディアは、アルバースが引退後のセカンドキャリアの仕事として、フルタイムの正式な教員になる考えがあるか、どうかについても質問しているが、「(僕の将来に)どのような門戸が開かれているか見てみたいね。野球(人生)のあとに何が起こるかは、自分自身にもわからないよ」と、笑いながら答えている。同メディアによると、アルバースは引退後に、コーチ業に進みたい考えも持っているという。 日本のプロ野球界では、セカンドキャリアが大きな問題になっているが、メジャーの選手の人生設計は、野球だけに留まらず計画的なようだ。