神木隆之介をなぜ一人二役に? 新井順子Pに聞く、『海に眠るダイヤモンド』誕生秘話
こだわり抜いて作れるリッチな撮影環境は、日曜劇場ならでは
――第1話では、まるでタイムスリップしたかのような没入感に圧倒されましたが、端島のシーンはどのように撮影されているのでしょうか? 新井:端島銀座の広場も、メガネと呼ばれている鉄平と進平がサイダーを飲んだ場所もみんなセットです。そうしたセットを建てる場所を探すのにもかなり時間がかかりましたね。端島って、コンクリートで固められた島だったので、緑がないんですよ。なので、セットの背景をCGで海にしたり、学校の校庭を撮影するときにもみんなで1日かけて草むしりをしたこともありました。それからリナが端島銀座の階段の上で歌うシーンにエキストラさん300人ぐらい集まってくれていて。その方々の着替えだけでも2時間とかかかっています。そういう撮影を毎日のようにしていて、何もかもが大変です。 ――そんなスケールの大きな撮影ができるのも、日曜劇場ならではでしょうか? 新井:そうですね。大規模であるのと同時に、とことんこだわって作れるというのが日曜劇場っていう枠の強みだと思います。第1話の端島に映画館や美容室、病院やビリヤードなどがあったことを説明するシーンでは当初、実際の写真を使おうかという話になったんですけど、塚原監督が「いや、実写にしたい」と言って。あのポンポンポンポンって切り替わるワンカットのために、それぞれ何時間もかけて再現して撮っていったんです。本当に大変だったと思うんですけど、おかげでより端島の状況が想像しやすくなったと思います。「映画並みですね」ってみんなに言われますね。スタッフの工夫と技でリッチに撮れる。毎日のようにトラックが6台ほど来てるとか、移動に5時間半かかったとか、そんな話ばかりですが(笑)。そんな中でもスタッフもキャストも「やるしかないか!」というスイッチで取り組んでいます。 ――なかでも大変だった撮影は? 新井:第2話で、端島に台風が接近してくるのですが、その撮影が壮絶でした。現場に水を溜めておくプールが設置され、スイッチを押したら端島銀座全体に雨が降る仕掛けを丸1日かけて組んでもらいました。さらに、ドラム缶5つで大波をつくる装置も作って、スタッフもキャストもみんな、びしょ濡れになりながらの撮影でした。夏の時期に撮ったんですけど、やっぱり濡れ続けると体温が奪われて冷えてくるんですよね。そうした奮闘のおかげで、いい画がたくさん撮れているので期待していただけたらと思います。