神木隆之介をなぜ一人二役に? 新井順子Pに聞く、『海に眠るダイヤモンド』誕生秘話
ご縁とタイミングが重なり、念願叶ったキャスティング
――神木さんの一人二役といえば、ホスト役が新鮮でした。 新井:「見たことのない神木さんを作りたい」っていう思いから、現代パートではホストの役になりました。企画書をお渡しして、次にお会いしたときには、すでにホスト関連の動画をめちゃくちゃ見てきてくれていて(笑)。「この人知ってますか?」なんてこちらが勉強させてもらう勢いでした。ご本人に一人二役の感想をお聞きしたら、なんでも前向きに頑張るぞっていう鉄平と、とにかくダルいっていう玲央との「モードを切り替えるのが大変だ」っておっしゃっていましたが、見事に演じ分けられているなと思います。そこはご本人もおっしゃっていましたが、「よーい、はい!」でスイッチが入って、カットがかかったら本人に戻る没入型なんですよね。一瞬で役に入りきれるので、お芝居がすごく自由なんですよ。台本に書いてないところの行間まで埋めてくる感じというか。いつもアイデアを出してくれて、面白いことをしようとしてくれるんです。第1話で、逃げながら國村隼さんに靴下を投げるシーンがありましたけど、あれも神木くんの案で。事前に國村さんに「すみません、投げます」と言ってたとか(笑)。たぶん、ホスト役に関してもいろいろ研究されて、これからアイデアを持ってきてくれるのではないかなと思っています。実際に、ロケ地で協力していただいたホストクラブでも、神木さんがホストの方々に「どうやって街で声をかけるんですか?」っていろいろお聞きしていて、それを実践されていたんですよ。第1話で声をかけた女の子にあしらわれて「ケチ」って言うシーンがあったと思うんですが、すごく生っぽいというか、リアルに演じられているのはその成果です。実はあの日、夕方まで鉄平で、夜だけ玲央だったんですよ。さすがですよね(笑)。 ――主人公に神木さんを、というのは満場一致で決まったそうですね。 新井:はい。キャスティングについてはかなり長いこと話し合いを重ねてきました。神木さんに主人公をやっていただけることになったので、「じゃあ、次は女性3人をどうしようか」と。ふだんテレビを観ない人が観ても、それこそ外国の方が観ても、パッと見分けのつくように、雰囲気の全然違うタイプの3人の女性にしたいと思っていて。そこで、杉咲花さん、土屋太鳳さん、池田エライザさんにお願いしたんです。池田さんは、偶然にもお父さまとお祖父さまが端島のとなりの高島にゆかりがあるそうで。そういったご縁もあってすぐに快諾していただきました。杉咲さん、土屋さんは、彼女たちが中高生のころからお仕事をしてきたので、「またいっしょにやりたいね」っていう思いもありましたね。斎藤工さんは、これまでも何度もお声がけしてきたんですけど、いつもタイミングが合わなくて。今回ようやく実現したという感じです。清水尋也さんについては、野木さんが賢将役のイメージがあったようです。 ――現場の雰囲気はいかがですか? 新井:みなさん、本当に仲良くてずっとおしゃべりしています。その光景を見て、我ながら良いキャスティングだったなと(笑)。あと、こだわった点としては端島のシーンでは長崎県もしくは九州地方出身の方に出ていただきたいと、かたっぱしから探しました。でもなかなか見つからなくて。そういう意味でも、長崎県出身のさだまさしさんは絶対に欠かせないな、と。コンサート中なんですけど、みんなでお願いしたら「ぜひ」と言っていただけました(笑)。それから、宮本信子さんにも今回「なんとかご一緒したい」という思いを込めてお手紙を書かせていただきまして。念願が叶いまして、本当にありがたいなと思っています。 ――念願叶ったという点では、主題歌も? 新井:はい。私がKing Gnuさんがいいと(笑)。日曜劇場という枠ですし、一見するとノスタルジーな世界観なので、その対照的になるようなロックっぽい力強さみたいな感じがよかったんですよね。常田さんにお会いして、いろいろお話をして書いていただくことになって。いろいろと物語のキーワードを聞かれましたね。タイトルは一度別のもので聞いていたんですけど、最終的には「ねっこ」になっていて。どうして「ねっこ」なのか、私も聞いてみたいです。