「気持ち悪い!」と炎上した日本マクドナルドのAI広告に“決定的に欠けていたもの”。海外マックのCMを見て気づいたのは
マックフライポテトに期待することは? 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。 【画像】8月17日に公開された日本マクドナルドのAI広告のワンシーン(全6枚) 先日、日本のマクドナルドのある動画が炎上しました。その動画とは、マックフライポテトの値引きキャンペーンのために制作された広告プロモーションであり、2024年8月17日にX上限定での公開されたもの。AIクリエイター架空飴(Kaku Drop)氏が手がけたものだそうです。 マックフライポテトを持った若い女性が次々に登場する内容で、生成AI(さまざまなコンテンツを生成できる人工知能)によって制作されていました。この動画を視た人々からは「不気味」「気持ち悪い」「AIの必要性がわからない」などと否定的な意見が多く寄せられる事態に。確かにこの動画は賛否両論を生み出しそうです……。マクドナルドはいったい何をミスしてしまったのでしょうか? このAI広告に対する嫌悪感の理由については、既にさまざまなメディアにおいて議論されていますから、今回は違った視点で考えてみることに。 食文化研究家として、今回のAI広告が多くの人々に違和感をもたらした理由を考察しながら、今後マックが期待される動画とはいったいどのようなものなのか? を考えてみました。そのヒントになるポイントを海外マックの動画で見つけたので、合わせて紹介していきたいと思います。
問題となったAI広告には、何が欠けていたのか?
近年増えつつあるAI広告。業種を問わず、さまざまな企業が話題化をねらってチャレンジをしている分野でもあります。まずは今回炎上してしまった動画について、X上のコメントをじっくり見ていくと、わかることがあります。 それは、マクドナルドがAIによる動画制作をしたこと自体に強い嫌悪感や批判を表明しているわけではないということ。あくまでもその表現の印象面において、率直な意見が集まっていることがわかります。 そして、描かれた女性や映像全体の雰囲気をとらえて不快感を示したユーザーが多くいたことは否定できませんが、強い嫌悪感の根本要因は他にあったのではないかと、私は考えました。 それは、これまで何度となくマックフライポテトを食べてきた、愛してきた顧客に対する敬意の欠如ではないかと思うのです。 人が食事をするときに必ず伴うのは、そのときに生まれるエピソードや気持ちです。子どもの頃にポテトを食べた親子の懐かしい思い出、友達と遊ぶ流れで楽しく食べた記憶、疲れて帰ってきてLサイズを独り占めして食べたときの至福感……。 人それぞれマックフライポテトとのエピソードがあるでしょう。つまり、多くの人がマクドナルドからもらった温かな記憶や思い出に対して、マクドナルドとして敬意や感謝、共感といった気持ちが、この動画に間接的にでも込められていたのかが、疑問なのです。 つまり多くの人々は、自分たちが長らく重ねてきたリアルな思い出や体験とはつながりにくい、どこか人工的で温もりのない単発的なシーンをつなぎ合わせた動画に、「マックフライポテトの世界はこんなんじゃない!」という拒否感を抱いたのではないでしょうか?