イライラを鎮めてメンタルを安定させる「食」養生 漢方では五臓六腑の「肝」を整えることを目指す
怒には、単なる怒りだけでなく、ストレスによって生じる感情も含まれます。特に気を付けたいのは、身体的ストレスです。 ストレスというと精神的なものを思い浮かべる人が多いでしょうが、気候の変化や寒暖差といった体への負担も、大きなストレスです。今年は例年になく寒暖差が大きく、身体的な負担が大きいと感じている人、または不調として表れている人が増えているように思います。 実は、肝は精神的なストレスだけでなく、寒暖差(1日の中の寒暖差や、日々の寒暖差を含む)など環境による身体的ストレスの影響も受けやすいのです。寒暖差による体温調節は、予想以上に気を消耗させます。
肝が不安定になりやすい今の時期は、ストレスのコントロールに失敗しやすく、感情的になりやすい時期なので、注意が必要です。 肝の機能が低下すると、気や血の流れが滞ってしまうため、全身に影響が及び、消化器系の不調、疲労感、めまいや頭痛などの症状が表れます。 肝の機能低下による影響を以下に示しましたので、ご覧ください。 □ イライラする、キレる □ 赤ら顔になる □ 目が赤くなる □ 血圧が上がる(脳卒中に至ることもある)
□ 頭痛、めまい □ 胸から脇にかけての一帯が張る、痛む 今はこの怒が暴走して、肝の機能を低下させやすい季節です。普段から怒りっぽい人は、以下のような対処で気持ちを落ち着かせ、正常に戻すとよいでしょう。これらは『黄帝内経』に書かれている春の過ごし方です。 □ 怒ること、興奮することを避け、ゆったりした気持ちで過ごす □ 精神的ストレス、身体的ストレスをうまくコントロールする □ 我慢しない(気持ちを抑えつけすぎない)
□ きつい下着や服装を避ける □ 睡眠を十分にとる ■肝を元気にするには「酸味」が大事 先に挙げた対処法とともにやっておきたいのが、食生活の改善です。 肝の機能を高めるには、適度な酸味が必要です。酸味は気や血のバランスを整え、気が頭のほうに上りすぎるのを抑えてくれます。 酸にはまた、血液を浄化する、解毒するといった働きがあるので、肝がする仕事を軽減してくれます。 オレンジやみかんなどの柑橘類のほか、漢方では、パクチーや春菊、しそ、三つ葉、クレソンなどの香草類も酸の仲間に入るので、これらを適度に摂るとよいでしょう。