イライラを鎮めてメンタルを安定させる「食」養生 漢方では五臓六腑の「肝」を整えることを目指す
説明しますと、漢方では体の機能は「肝、心、脾(消化器系)、肺、腎」という五臓に分類されていて、これらにはそれぞれ「怒、喜、思(思い悩む)、悲、恐」といった感情「五志(ごし)」が対応しています。 五臓と五志はお互いに深い関連を持っていて、お互いに影響を与えていると考えられています。以下の表のような感じですね(※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
■「恐怖で白髪に」を漢方的に見ると 具体的にどんなことがあるか見てみましょう。 例えば、強い怒りは肝(かん)の不調を招き、イライラしやすくなる、キレる、震える、筋肉がけいれんするといった症状をもたらします。怒りで震えるのは肝の反応です。 ほかにも、喜びも度が過ぎると心(しん)を傷つけます。宝くじに当選して心臓発作を起こしたり、推しのアイドルのコンサートで失神したりといった例がそれにあたります。 思い悩んで食欲が低下するのはわかりやすい例ですが、逆に脾(胃腸)の不調からうつなど精神的な疾患を発症することもあります。
また、恐怖で急に白髪が増えるのは、髪は腎がつかさどっている部位だからです。 今の時期に不安定になりやすいのが肝で、肝の働きを良好な状態に保つことが、メンタルヘルスの要になるとされています。 漢方でいう肝は、西洋医学でいう臓器の肝臓を含めた広い概念のことをいい、体に入った有害な物質を解毒する働きや、血(けつ:主に血液のこと)を貯めておく働き、さらには、気(生命エネルギー)や血を全身に巡らせる働きがあります。
そして、この肝に関係する五志は、怒です。怒が強かったり、長引いたりすると、肝に負担がかかり、先に挙げたような肝の働きが弱まってしまうのです。 ■「怒り」が頭や目にダメージを与える 怒は、人間の気持ちが激しくなったときの感情の変化です。 体や心を破壊的に働く有害な刺激で、まさに怒りで頭に気や血が上ってしまうと、頭や目などの重要な器官にダメージを与えてしまいます。この状態を漢方では「怒は肝を傷る(やぶる)」とか、「怒ればすなわち気上る」とかといいます。