緊急事態宣言から2週間、専門家会議が会見(全文3)東京都の感染者数の伸びは鈍化
東京の感染者数が減少に転じているかどうかはっきり言えない
で、公園のお話に関して皆さんに覚えておいていただきたいことというのは、もちろん屋外で、1人で散歩していただくというのは近くに人がいない限りは問題ないんです。しかし、例えば公園の中の人口密度があまりにも高くて、公園でたくさんの接触が起こってしまう。具体的に言うと、2メーター以内にたくさんの方が集まって長い時間を共に過ごしてしまうという場合だと本末転倒な話になってしまうんですね。なので、常識的な範囲で、そういう人口密度が高くて接触をしてしまうという場を避けてもらいたいと考えています。 東京都の話に関しても私からお返事させていただきますけども、これまでに東京都の確定日別の患者数に関しては鈍化が始まっていると思っています。新しい感染者数の増加をする率ですよね。これまでは指数関数的な増加を認めてきたんですけども、少なくともその増加というものが鈍化をしてるというふうに考えています。一方で、これが減少に転じているかどうかということに関してはもう少し慎重に将来のデータを見ないと、まだ確定、限定したようなことということは、はっきりと言えないという状況です。少なくとも鈍化をしているのは確実なようです。
年単位を含めて考えるべきなのか
西日本新聞:西日本新聞、一瀬と申します。2点お伺いします。今、国民は活動自粛で努力してる一方、やはり情報を欲しがっています。現時点での行動変容の評価では、このコロナ問題というのは数カ月単位での終息なのか、もしくは年単位を含めて考えるべきなのか、この辺りはいかがなのかというのが1点です。 もう1点は、PowerPointの17ページのところで、人工呼吸器などの限られた集中治療の活用を巡る方針について市民と認識を共有する必要があるとありますけども、海外事例を見ると、やはり限られた人工呼吸器をどの患者に使うかという点で命の選択もあっていますし、こういうことも含めて市民と認識を共有すべきなのかということなのか、その辺の具体的な話をお願いいたします。 西浦:流行の見通しについて、まず私からお返事をさせていただきますけども、今のように感染者数が増加をしてしまって、緊急事態宣言下で行動を著しく制限しないといけないような状況っていうのは数カ月単位の問題に収めたいと思っています。他方、あまりにもまた社会経済活動が戻ってしまって、もう一度、感染者数が増加に転じるというようなことがあれば、それを繰り返さざるを得ないようなことも想定しないといけない問題です。 少なくとも当面の見込みというのは、今すぐにこれまでと同じような生活が帰ってくるわけではなくて、向こう1年間はこの流行とは多かれ少なかれ付き合っていかないといけないというふうに考えています。まずはっきりと定量的に言えるというのはそれぐらいのところまでで、それを超えた段階というのはまだ分からないというのが正直なところです。 脇田:医療倫理の点に関しては東大の武藤教授にお答えしていただきます。 武藤:ご質問いただきありがとうございます。前の4月1日の提言にも、会見のときにも述べたんですけれども、そうした難しい判断を医療従事者にだけ任せるということが一番避けなければいけないことだと思っています。非常に酷な判断をさせることになる。一方で、優生思想の観点からの危惧のようなものも表明されています。あくまでも緊急事態に限った判断を、なるべく多くの方々と議論して決めたほうが良いというふうに考えており、これから学会を中心に議論していただいたり、あるいは相談窓口をつくっていただいたり、考え方の原則を決めるということが大事ではないかと思っています。