破産申請続く米カトリック教会、性的虐待の和解は進められるか?
全米各地のカトリック教区に対して起こされた集団訴訟では、教区の大きさや被害者の数によって賠償金の額には大きな差があるものの、現在までに20近くの教区で和解が成立しています。ロサンゼルス大司教区では、大司教区と枢機卿個人に対してそれぞれ訴訟が起こされ、少なくとも720億ドルが賠償金として被害者に支払われています。ロイター通信は1日、これまでに米カトリック教会が支払った賠償金の総額は約30億ドルに達したと伝えています。
バチカンのイメージ回復は成功するか
性的虐待に関与した人物がすでに死亡しているケースも珍しくありませんが、ある教区で性的虐待を行った神父がその事実を隠ぺいしたまま他の教区へ移動していた事実も明らかになっており、カトリック教徒からは「過去に性的虐待に関与していた神父らの情報は全て公開すべきだ」という声が後を絶ちません。 アメリカから世界中に飛び火した性的虐待スキャンダルに、バチカンも本腰を入れて対応を開始。性的虐待スキャンダルの対応に消極的と批判が噴出した前教皇ベネディクト16世の時代でさえ「過去50年で、最大で全体の5パーセントに当たる聖職者が性的虐待に関与していた」との声明を発表し、年平均数百人のペースで性的虐待に関与したとされる聖職者の資格はく奪を実施していました。新教皇フランシスコも虐待に関与した聖職者には厳しい対応を取る姿勢を打ち出しており、今後の対応が注目されます。 (文 / ジャーナリスト・仲野博文) ※この記事は2月11日配信分の再掲です。