東京五輪へ森保ジャパンが秘密兵器を続々招集
海外組からは、ブンデスリーガ1部のハンブルガーSVに所属するMF伊藤達哉が初めて招集された。ハリルジャパンの常連でもあるDF酒井高徳がキャプテンを務めるチームだ。 小学生の年代から柏レイソルのアカデミーで育ってきた伊藤の武器は、168センチ、59キロの小さな体から繰り出されるスピードあふれるドリブル。国際移籍が解禁される2015年6月26日の18歳の誕生日を待って、熱烈なオファーを送られていたハンブルガーSVのアカデミーへ移籍した。 2017-18シーズンは、セカンドチームに当たるU-23でレギュラーをゲット。トップチームの練習にも帯同するようになり、昨年9月25日のバイヤー・レバークーゼン戦を皮切りにブンデスリーガ1部で計12試合、453分間にわたってプレーしている。 昨年12月には念願のプロとなり、2021年の夏まで契約を結んだ。中盤の両サイドからドリブルを仕掛けるたびに、ファンやサポーターを沸かせる存在になった逸材を、森保監督はドイツにまで足を運んで自らの目でチェックしている。 「もちろん映像でも、彼のプレーをチェックしました。彼に期待することは前線でボールを受けて、そこから貪欲に相手のゴールへ向かっていくところ。目の前に相手がいても何とか突破して、チャンスやゴールにつなげていく貪欲な姿勢を、我々のチームでも見せてもらいたいと思っています」 年代別の代表の場合、各国のサッカー協会は海外クラブに所属する選手を拘束する権利をもたない。リオ五輪のエース格と期待された久保裕也が、当時所属していたBSCヤングボーイズ(スイス)に拒否されたことで、開幕直前になって代表を辞退した一件はまだ記憶に新しい。 ハードルが高いことを承知のうえで、それでも森保監督は伊藤の招集を日本サッカー協会の技術委員会に要望した。アピアタウィアとあわせて、東京五輪へ向けた「攻守の秘密兵器」として、大きな期待を寄せている証と言ってもいい。 「今回の遠征は非常にタフな日程での活動となりますが、そのなかで選手個々、そしてチームとして成長できるようにいい経験を積んで、前へ進んで行ければと思っています」 3度の活動すべてで招集されているのは、189センチの長身を武器に清水エスパルスの右サイドバックを射止めた19歳、立田悠悟しかいない。どんな可能性をも見逃さない、を合言葉とする森保ジャパンに招集されたホープたちは、アピアタウィアや伊藤を含めてすでに48人を数えている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)