美容ブランド が優先するのは、文化をリードすることやオーガニックなコミュニティ育成:Beauty & Wellness Briefing
11月13日から15日に開催されたGlossyビューティ&ウェルネスサミット(Glossy Beauty and Wellness Summit)では、何百ものブランド、小売業者、投資家がカリフォルニア州サンタバーバラに集い、変化する小売、インフルエンサー、マーケティングの状況などについてディスカッションを行った。 話題の中心は、ブランドのレレバンス(関連性)と差別化、そしてオーガニックなコミュニティの重要性についての議論だった。そこから学んだことは、以下の通りである。
ブランドの視点と創業者のストーリーが差別化のカギ
イベントのスピーカーセッションやワーキンググループでのディスカッションでは、混雑した市場でブランドとしていかに差別化を図るか、またブランドパートナーシップを確保し、消費者にリーチするには、どのようにその違いを活用すればよいかに話は集中した。 科学的な裏付けのある独自のストーリーを持つことは、製品が効果的であることを証明し、顧客のもっと知りたいという欲求を満たすと同時に、ブランドのナラティブと目的を構築するひとつの方法である。化粧品化学者であり、ビューティスタットコスメティックス(BeautyStat Cosmetics)の創業者兼CEOのロン・ロビンソン氏は、客の声やビフォーアフターのユーザー写真、第三者機関による臨床検証を通じて、顧客は彼のブランドの商品の性能にもっとも関心を寄せると述べた。それらはすべてブランドの効能に関するストーリーを語るのに役立っている。同ブランドは2019年にローンチし、ユニバーサルCスキンリファイナー(Universal C Skin Refiner)というビタミンC美容液で知られている。ビューティスタットの最大の小売パートナーは、米国で1300店舗以上を展開するアルタ・ビューティ(Ulta Beauty)で、同ブランドは2022年に260店舗でテストを行った後、2023年にアルタの全店舗に拡大した。 「我々は『クリーニカル(クリーンとクリニカルの造語)』分野のトレンドを目にしている。消費者とブランドは第三者による結果と検証、独立した臨床試験、ビフォーアフターの写真に注目している」とロビンソン氏は述べた。「化粧品化学者が創業した科学的な裏付けのあるブランドとして、この点は重要であり、またブランドイメージにもあっている」。 ボンドビルディングのブランドであるK18もまた、美容業界で科学的な視点を強く打ち出しているブランドである。K18には、生物学を第一に考えたアプローチで髪のダメージを分子レベルで回復させるという、特許を取得したK18ペプチド(K18Peptide)システムがある。K18が2020年12月にローンチした当初は、ヘアスタイリストのコミュニティにフォーカスしていた。その1年後、より広範に展開する準備が整い、ハッシュタグ「#K18hairflip」で大規模なTikTokキャンペーンを展開、90億ビューを獲得している。 「毛髪繊維の奥深くで作用する場合、髪も同じだ。これが巨大なパラダイムシフトであることに気づいて、それに関する教育が重要だとわかった」と、K18のCMO、ミシェル・ミラー氏は語った。 最終的にK18はセフォラ(Sephora)に上陸し、そこで大きく成長した。創業3年のこのヘアケアブランドは、2023年の売上を1億ドル(約149.2億円)以上と見込んでいる。セフォラではすでに、オラプレックス(Olaplex)、バンブル&バンブル(Bumble & Bumble)、アミカ(Amika)などのブランドを通じてボンドビルディングのヘアケアを提供していたが、K18のサブカテゴリーへの独自のアプローチが、厳選した商品を扱うことで有名なこのプレステージの小売業者で販売されるのも納得という結果に導いた。 だが、強いナラティブやストーリーは、科学に特化したブランドに限ったことではない。セレモニア(Ceremonia)は、成分、製品、そしてヘアケアよりもヘアウェルネスへの注力を通じてラテン系の伝統を称え、有名になった。セレモニアのベストセラーには、グアバ リーブイン コンディショナー(Guava Leave-In Conditioner)、アサイー スタイル リフレッシャー(Açai Style Refresher)、パパイヤ スカルプ スクラブ(Papaya Scalp Scrub)などがある。同ブランドは最近、パフューム デ ラ ティエラ(Perfume De La Tierra)でクリーンフレグランスにも進出した。セレモニアの創業者、バッバ・リベラ氏は、スウェーデン育ちのチリ人である彼女にとって、ヘアケアは体によい成分や製品よりも歴史的にスタイリングのカテゴリーに根ざしていると話す。セフォラは同ブランドのヘアウェルネスのコンセプトに注目し、7月にラテン系が所有する初のブランドとしてセレモニアを迎え入れた。セレモニアの顧客ベースの約50%はラテン系でもある。 「セフォラは私たちのブランドに非常に多くをもたらしている」とリベラ氏。「セフォラのような大規模な小売業者と一緒になることがどれほど難しいかは、いくら強調してもしきれないほどだが、セフォラにどれだけメリットがあるかというのもまた同様だ。今日の(ブランドの)発見のほとんどは、セフォラで行われていると感じている」。