フィッティパルディ、叔父ウィルソンに捧げる優勝。宮田莉朋悔しい15位も、レース終盤にファステスト更新の速さ見せる|FIA F2ジェッダ・フィーチャーレース
FIA F2の第2ラウンドジェッダ戦のフィーチャーレースが行なわれ、エンツォ・フィッティパルディ(VAR)が優勝した。宮田莉朋(ローディン)は15位だった。 【リザルト】FIA F2ジェッダ戦フィーチャーレース結果 予選でポールポジションを獲得したのはオリバー・ベアマン(プレマ)だったが、虫垂炎となったカルロス・サインツJr.の代役としてフェラーリから急遽F1デビューすることとなったため、F2は欠場。代わってクシュ・マイニ(インヴィクタ)がポールポジションからスタートすることとなった。 ウォールが近いジェッダ市街地サーキットとあって、スタート直後からいきなりセーフティカーが出動する展開となった。 マイニは無難な動き出しを見せて首位をキープし、ジャック・クロフォード(DAMS)も2番手のまま、ターン1に飛び込んでいった。3番手には、抜群の蹴り出しを見せた5番グリッドのアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ)がジャンプアップした。 しかし後続では大混乱。ターン2でスピン状態となったジョセップ・マリア・マルティ(カンポス)に複数のマシンが接触。このマルティとローマン・スタネック(トライデント)がコース上にストップしたことで、セーフティカー出動となった。またガブリエル・ボルトレト(インヴィクタ)はサスペンションにトラブルが発生したようで、やはりマシンを止めた。 4周目からレース再開。マイニはハイペースで飛ばし、後続との差を広げていくかに見えた。しかしクロフォードは踏ん張り、一時1秒以上となったマイニとの差を、再び縮めにかかった。 このフィーチャーレースは、レース中に2種類のタイヤを使うことが義務付けられている。そのためのピットストップが許される最小周回数である6周目を終えたところで、2番手を走っていたクロフォードらがピットイン。スーパーソフトタイヤから、ミディアムタイヤに履き替えた。 翌周には、首位マイニも反応してピットへ。マイニは実質的な首位のポジションを維持した一方、クロフォードはエンツォ・フィッティパルディ(VAR)とアントネッリに先行を許してポジションを落とした。クロフォードは、すぐにアントネッリを攻略し、フィッティパルディ追走にかかった。 ただフィッティパルディのペースは良く、徐々にマイニに接近。そして13周目のターン1でマイニを攻略し、実質的な首位に立った。 スーパーソフトでスタートした全車がピットストップを終えたことで先頭に立っていたのは、ミディアムタイヤでのスタートを選択したファン-マヌエル・コレア(DAMS)だ。コレアは好ペースで周回を重ね、同じくミディアムタイヤスタート組の2番手アマウリー・コルディール(ハイテック・プラス-エイト)に10秒以上の差を築き、首位を快走した。 15周目のターン1で、フランコ・コラピントがスピン。コース脇にマシンを止めることになった。これでこのレース2回目のセーフティカー出動となった。 コラピントが止まったのがターン1であるため、全車はセーフティカーに続いてピットレーンを通過することが指示された。そのためロスタイムなくタイヤを交換するには絶好の機会ではあるが、残り周回数は13周。コレアら後半にスーパーソフトタイヤを履く必要があるドライバーにとっては、あまりにも難しいタイミングであった。 結局コレアはタイヤを交換せず、ミディアムタイヤのまま走行することに賭けた。ただ、後続との差は詰まってしまうことになり、難しい局面を迎えた。一方で2番手コルディールはタイヤを交換し、残り周回を走り切ることを選んだ。 19周目からレース再開。残り周回数は10周である。 コレアはうまくリスタートで後続をコントロールして、首位をキープ。コルディールがこれに続いた。フィッティパルディがテイラー・バーナード(PHM)を抜き3番手に浮上してみせた。 しかしスーパーソフトタイヤを履いたコルディールの速さは圧倒的で、21周目に入ったところでコレアを抜いて首位に浮上。 ただフィッティパルディの速さは驚異的で、22周目に入ったメインストレートで、コルディールとコレアをまとめてオーバーテイクしてみせた。 コルディールはやはりタイヤが厳しく、23周目以降はペースダウン。コレアも25周を終えたところでピットインしなければならず、入賞圏外にポジションを落とした。 首位に立ったフィッティパルディは、圧倒的なペース。27周目にはファステストラップも更新し、後続と大きな差を築いてトップチェッカーを受けた。レース後、先月亡くなった叔父ウィルソン・フィッティパルディにこの勝利を捧げると語り、涙した。 2位はマイニ、最終ラップでオーバーテイクを成功させたデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)が入った。4位クロフォード、コルディールは最後スーパーソフトタイヤで粘り5位に入った。 宮田莉朋(ローディン)にとっては厳しいレースになった。予選で後方に沈んだだけではなく、スタート位置を違反したとして、10秒のストップ&ゴーペナルティが科された。上位と共に1回目のピットストップをした際に、ペナルティを消化。しかしその後2回目のピットストップを強いられ、さらにエンジンストールも喫してしまったことで、大きく遅れることになった。 ただレース終盤にはファステストラップを更新する驚異的なペースで走った。最終的にはフィッティパルディにファステストラップを奪われたが、それでもレース中2番目に速いラップタイムを記録し、順位こそ15位だったものの爪痕を残した。
田中健一