維新「最後の切り札」吉村新代表に再建託す…万博閉幕後に3度目の「大阪都構想」挑戦か
1日に大阪市内で開催された日本維新の会の臨時党大会で、共同代表の吉村洋文氏(49)が、新代表に選出された。吉村氏は大阪府知事を務めつつ、国政政党の代表として、党勢立て直しに向けたかじ取りを担うことになる。 【一覧表】代表選に立候補した4人の主な経歴・推薦人の特徴
◆「最後の切り札」
1日投開票された代表選で、次点の約8倍の票を集めて圧勝した吉村氏は、代表就任のあいさつで「我々はまだまだ弱小で経験も少ない。既存の価値観ではないところで、正面から他党とぶつかっていくことが必要だ」と力を込めた。
大阪選出の衆院議員の一人は「吉村氏は維新にとって『最後の切り札』だ」と期待感を示した。
維新は、自民党派閥の「政治とカネ」の問題で、衆院で自民の政治資金規正法改正案に同調して批判を浴びた。8月の大阪府箕面市長選で地域政党・大阪維新の会が公認した現職が初めて敗れるなど、本拠地・大阪の選挙でも苦戦が目立ち、衆院選では立憲民主党や国民民主党が躍進する中、公示前から6減の38議席にとどまった。
結党から10年以上が過ぎ、党内には「改革政党」の立ち位置が揺らいでいるという危機感がある。
吉村氏は代表選期間中、「古い永田町文化をぶっ壊す」と繰り返した。党を創設した橋下徹・元大阪市長はX(旧ツイッター)で前執行部を「自民との飲み食い政治のなれの果て」などと批判しており、吉村氏は「会食は原則1人5000円」などを打ち出した。
ただ、こうした言動について、前執行部に近い国会議員からは「国会の事情がわかっていない」との批判がある。ある衆院議員は「前執行部を敵に回すと党が割れるかもしれず、吉村氏はいきなりつまずく可能性もある」と危惧する。
◆看板政策
党の命運を左右しそうなのが、維新の看板政策「大阪都構想」だ。
東京都と23特別区の関係をモデルに、大阪市を廃止して特別区を新設する都市再編策で、2015年と20年の2度、住民投票で否決された。吉村氏は2度目の住民投票後、「僕自身が政治家として挑戦することはない」としていたが、先月19日に一転して再検討する考えを表明した。1日の代表就任記者会見でも、「東西2極の1極を担うのは、大阪の役割だ」と述べた。