イーサリアムは方向を見失ったのか?──二兎を追う者は一兎を得ず
ペクトラ、パージ
3月のデンクン(Dencun)アップグレードに続き、ペクトラ(Pectra)が次のメジャー・アップグレードとして2024年末に、その先にはパージ(Purge)が予定されている。パージは、イーサリアムが他のチェーンに遅れを取らずに進展し、より広範な普及が実現した際に、アクティビティの急増に対応するうえで重要な役割を果たす。パージは、古い履歴を消去することでプロトコルを簡素化し、技術的負債を解消し、ネットワークへの参加コストを削減する。 履歴の消去にはメリットがあるが、チェーンが中央集権的エンティティにデータが収集されてしまう脆弱性もあり、イーサリアムをデータ中心のチェーンにしてしまう。そうなると、イーサリアムはトラストレスな性質を失い、広告塔のようなものになってしまう。 この問題は、イーサリアムの次の段階への進展を妨げる。なぜなら、マルチ・エージェントAIシステムや分散型コンピューティングのような下流のアクティビティは、参照できるデータがなければスケーリングできない。この問題は、分散型の長期データ可用性というソリューションが解決する。 今、イーサリアムはスケーリング・ロードマップの途中で停滞している。しかし、インフラに焦点を当てることでイーサリアムは軌道に復帰できる。これが、ネットワークが真にワールド・コンピューターとしての役割を果たすことを実現する。 イーサリアムがロードマップの終盤に達し、今後数年で分散型コンピューティングを実現すれば、ワールド・コンピューターは強固なグローバルインフラに支えられ、問題なく機能するだろう。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock|原文:Has Ethereum Lost Its Way?
CoinDesk Japan 編集部