夏合宿中から大一番へ準備、4年生QBは「タイヤ」と呼ばれる練習も 関西学院大学が61度目の関西学生リーグ優勝
嫌な雰囲気を断ったディフェンス
たたみかけたい関大オフェンスだったが、関学ディフェンスがそれを許さない。第3ダウン3ydで中央付近のランに出たが、関学DL(ディフェンスライン)川村匠史(4年、清風)とLB(ラインバッカー)永井励キャプテン(4年、関西大倉)がタックル。一度も攻撃権を更新させなかった。 2度目の関学オフェンス。19番が入ってきた。負傷退場した星野の弟・太吾(だいご、1年、足立学園)だ。「こんなに早くとは思ってなかったんですけど、(部歌の)『FIGHT ON(, KWANSEI)』を歌ったときには腹をくくって、いつ出てもいいようにとは思ってました」と弟。弟の入学以来、兄は自身がけがを抱えていたこともあり、弟を早く一人前にしようと育ててきた。夜に下宿に戻ってからもお互いの部屋を行き来して「QB教室」が続いた。関学にとって、これこそが最大の準備だったのかもしれない。弟は春の終盤には独り立ちし、秋も前節まで5試合に先発出場してきた。 第1ダウン10yd。ランだ。TE安藤が右のウィングの位置から勢いをつけ、ライン戦の真ん中にいる体重138kgの関大DL芦川真央(4年、大阪桐蔭)を横からはじき出すようにブロック。安藤の背中をエースRB伊丹翔栄(4年、追手門学院)が駆け抜けた。追いすがる2人の足元へのタックルをかわすと右へ。その先ではWR(ワイドレシーバー)の小段天響(2年、大産大附)が高校からの盟友である関大DB吉田優太(2年、大産大附)をしつこくブロックしていて、27ydのゲインとなった。星野弟は「不安もあったけど、あれで一気にゲインしてホッとしました」と話した。伊丹は「太吾が出るんで、ランでまずフレッシュを取っていきたかった。1年生のQBに背負わせたくなかったんで」と振り返った。 第3ダウン4ydは星野弟が得意のスクランブルから30ydゲインしてゴール前へ。最後はRB澤井尋(4年、関西学院)が飛び込んで先制のタッチダウン(TD)。7-0とした。