「Jリーグに帰ることになるかと…」欧州3年目、好機を掴んだ日本人SBの存在感がベルギーで増大中! 支えてくれた“同胞レジェンド”に感謝【現地発】
ポルトガルでは「お前、誰だよ、という状態からスタートした」
今季、小川は開幕から7試合連続で先発出場。第2節のアントワープ戦(1-6)を除いてフル出場を果たしており、1ゴール・1アシストを記録している。昨季は公式戦9試合(リーグ戦4試合・プレーオフ3試合・カップ戦2試合)にとどまった男にとって、天と地の違いほどのシーズンを過ごしていると言えるだろう。 FC東京から「このたび、小川諒也選手が、Vitoria Sport Clube(ポルトガル)へ期限付き移籍することが決定しましたので、お知らせいたします」というリリースが出たのは22年5月28日のこと。しかしビトーリア・ギマラエスでは公式戦11試合の出場機会しかなく、日本代表5キャップのレフティーはBチームの一員として3部リーグに出たこともあった。 23年夏、STVV加入選手たちによる合同記者会見で、小川はポルトガル時代の状況を「自分を呼んでくれた強化部長が、移籍してからすぐいなくなってしまい『お前、誰だよ』という状態からスタートした。急に監督が変わったり、コーチが変わったり、いろいろなことがあったので難しかった」と説明してから、欧州での再挑戦の場となったベルギーでのプレーにこう意気込んだ。 「欧州に来て2年目になりますが、英語が通じるのがまずは嬉しい。日本人選手がたくさんいてサッカーの面でも共有できる部分があるので、楽しみなシーズンです」 しかし、アタッキング・フットボールを志向するチームが喝采を浴びるなか、小川のコンディションはなかなか上がらす、開幕から17戦続けて招集外。やっと18節のRWDM戦で3分間出ることができたが、その後はベンチに座る日々が続いた。 この不遇から一筋の光明が差したのが24節のセルクル・ブルージュ戦だったのではないだろうか。当時のレギュラー、ボキャの負傷により70分から出番を得た小川は0-4ビハインドのアディショナルタイム5分、高精度のクロスを蹴り込んでバーンズのゴールをアシストしたのだ。STVVにとって1-4の大敗に変わりはないが、「捨てゲーム」を「次に繋げる試合」にした意義は大きい。 その後、レギュラーシーズン最後の2試合にチャンスをもらった小川は、最終節のクラブ・ブルージュ戦でまたもアシストを記録し、2対1の逆転勝利に貢献。プレーオフのスタンダール戦ではベルギー初ゴールを決めた。こうして小川は6月、FC東京からSTVVへの完全移籍を勝ち取った。 「(このままでは)たぶん、Jリーグに帰ることになると思ったんですけれど、ありがたく(契約をいただけた)。昨シーズンは(プレーオフを合わせたリーグ戦で)7試合ぐらいしか出ませんでしたが、新シーズンを見越してシント・トロイデンが契約してくれたので嬉しかったです。よりシント・トロイデンのために、このチームのために結果を残さないといけないという思いは、今年のほうが強くなりました」
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